◆がん患者のデータをがんがない人と比較
研究班は次のように、先行する研究で得られたデータを使って調査を行いました。
8件の症例対照研究で対象とされた、計4,590人の頭頚部がん患者と7,082人の対照の個人レベルのデータをプールして解析した。
約5千人の頭頚部がん患者と、頭頚部がんがない約7千人のデータから、ニンニクとタマネギの消費量について統計解析を行いました。
◆ニンニク、タマネギでがんが少なく
解析から次の結果が得られました。
ニンニクの消費がまったくないか少量の場合に比べて、頭頚部がんのオッズ比は中等量の消費で0.95(95%信頼区間0.71-1.27)、多量の消費で0.74(95%信頼区間0.55-0.99)だった(トレンドに対してP=0.02)。タマネギの摂取量が多いカテゴリーに対する頭頚部がんのオッズ比は、週あたり1片の摂取に比べて、週当たり1片より多く3片以下の摂取で0.91(95%信頼区間0.68-1.21)、週3片を超える摂取で0.83(95%信頼区間0.60-1.13)だった(トレンドに対してP=0.02)。
ニンニクの消費が多い場合、タマネギの消費が多い場合のそれぞれで、頭頚部がんが少なくなっていました。タマネギの消費量が多い場合、頭頚部がんの中でも喉頭がんが少なくなっていました。
この研究の方法では必ずしもニンニクとタマネギにがんを防ぐ作用があるとは断定できず、ニンニクやタマネギを食べる人に多いほかの生活習慣や健康上の背景が違いの原因だった可能性も否定できません。ただ食習慣が関係すると言われている病気はほかにもありますので、これをきっかけに健康的な生活習慣を考えてみるのもよいかもしれません。
執筆者
Relation of allium vegetables intake with head and neck cancers: evidence from the INHANCE consortium.
Mol Nutr Food Res. 2015 May 27 [Epub ahead of print]
[PMID: 26018663]
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