2015.06.13 | ニュース

性器マイコプラズマの半分が薬剤耐性?

日本の性産業従事者を検査

from Emerging infectious diseases

性器マイコプラズマの半分が薬剤耐性?の写真

性器マイコプラズマは、肺炎を起こすマイコプラズマ・ニューモニエと同属の細菌で、性感染症の原因になります。マクロライド系抗菌薬などで治療されますが、ほかの病原菌と同様、特定の抗菌薬(抗生物質)が効かない耐性菌が現れています。岐阜大学などの研究班が、日本の性産業従事者の体から見つかった性器マイコプラズマを調べたところ、47.1%が薬剤耐性に関連する遺伝子変異を持っていました。

◆女性の性産業従事者が対象

研究班は、2013年から2014年にかけて、日本で働く女性の性産業従事者149人を対象に、腟とのどに性器マイコプラズマが感染しているか、また性器マイコプラズマが見つかった場合、薬剤耐性に関連する遺伝子変異があるかどうかを調べました。

 

◆腟に性器マイコプラズマがいたのは14%、菌の47%に耐性遺伝子

対象者のうち、21人(14.1%)で腟から、1人(0.7%)でのどから性器マイコプラズマが見つかりました。遺伝子解析の結果、マクロライド系抗菌薬に対する耐性に関連する遺伝子変異を持っていたのは47.1%、ニューキノロン系抗菌薬に対する耐性に関連する遺伝子変異を持っていたのは36.8%でした。

研究班は、この結果が「女性の性産業従事者に高い割合で性器マイコプラズマが感染していることに加え、マイコプラズマはしばしばマクロライド系抗菌薬またはニューキノロン系抗菌薬に対する耐性に関連する遺伝子変異を持っているということを示唆する」と結論しています。

 

耐性菌はさまざまな感染症の治療を難しくしています。症状が治まってもまだ細菌が生き残っているうちに薬をやめてしまうなど、抗菌薬の不適切な使い方によって耐性菌の発生が促されると言われています。感染を予防することはもちろん、耐性菌を増やさない適切な治療には患者と医師の協力が欠かせません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Drug resistance-associated mutations in Mycoplasma genitalium in female sex workers, Japan.

Emerg Infect Dis. 2015 Jun

 

[PMID: 25988775]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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