2015.06.07 | ニュース

耐性菌に対する抗生物質が年々不足している?

アメリカの薬剤不足の記録から
from Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America
耐性菌に対する抗生物質が年々不足している?の写真
(C) katarinagondova - Fotolia.com

細菌感染症の治療には抗菌薬(抗生物質)が欠かせません。特にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)のように、一部の抗菌薬が効かないように変化した耐性菌に使える薬は限られ、使いたいときに手に入らなければ患者の危機につながるかもしれません。アメリカでは抗菌薬の不足が唱えられており、最近の記録をまとめた結果、2007年から2013年にかけて、不足する抗菌薬は増える傾向にあったことが報告されました。

◆2001年から2013年に不足した抗菌薬

研究班は、ユタ大学薬剤情報サービスのデータベースを使って、2001年から2013年の間に不足した抗菌薬の記録を集計しました。

 

◆不足する抗菌薬は年々増えつつある

集計から以下の結果が得られました。

148品目の抗菌薬について、13年間の対象期間のうちに不足した期間があり、そのうち26品目は2013年12月の時点で不足が続いていた。

不足している薬剤の数は、2007年7月から2013年12月までの間、1か月あたり0.35品目(95%信頼区間0.22-0.49)の率で増える傾向にあった(P<0.001)。

薬剤の22%は複数回にわたって不足期間があった。

不足したことがある抗菌薬は148品目にのぼり、2007年7月以降は、不足している薬剤の数が毎月平均して0.35品目増える傾向にありました

研究班はこの結果に対して、「多剤耐性菌の感染に使われる薬剤の不足は、感染が広がり続け、治療の選択肢が限られている中、注意に値する」と述べています。

 

抗菌薬、特に耐性菌に使われる種類の抗菌薬には使いすぎが指摘されることもあり、この研究で「不足」とされた現象をどうとらえるかには議論の余地がありそうです。また、アメリカでの需要と共有はそのまま日本には当てはまりません。

とはいえ抗菌薬不足の実情を詳しく調べる中で、議論の多い抗菌薬の使い方にヒントが得られるかもしれず、また万一日本でも重要な抗菌薬の不足が起こったときのために備えるべきことが、アメリカから学べるかもしれません。アメリカでは何が起こっているのか、気になる報告です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Antibacterial drug shortages from 2001 to 2013: implications for clinical practice.

Clin Infect Dis. 2015 Jun 15

 

[PMID: 25908680]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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