2015.06.29 | コラム

風邪薬で緑内障が悪化!?

抗ヒスタミン薬の"意外"な作用
風邪薬で緑内障が悪化!?の写真
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風邪をひいた時に飲む薬として「総合感冒薬」とよばれる薬があります。風邪の諸症状に効果が期待できるこの「総合感冒薬」は処方薬としても市販薬としても私たちの生活の中で身近な薬として存在しています。ところが、この「総合感冒薬」には「抗アレルギー薬」が含まれていることがあり、実はこれが意外と問題になることも…。

◆ 抗アレルギー薬の中でもよく使われる「抗ヒスタミン薬」

一般的に、「抗アレルギー薬」といっても様々で喘息治療薬やアレルギー性皮膚炎の薬であったり色々ですが、今回はその中でも「抗ヒスタミン薬」という薬に関して緑内障治療で特に重要な眼圧への影響を考えてみます。

「抗ヒスタミン薬」は体内のアレルギーを引き起こす物質の一つであるヒスタミンを抑えることで、アレルギー反応による鼻炎や鼻水、咳あるいは皮膚のかゆみなどといった様々な症状に効果をもたらします。花粉症の季節などで処方薬や市販薬で使われるのもこの「抗ヒスタミン薬」であったりします。鼻炎などに効果を発揮するので、いわゆる風邪の時に服用する「総合感冒薬」の中にもこの「抗ヒスタミン薬」が含まれている場合が多く、処方薬、市販薬問わず活躍している薬です。

 

◆ 眠気の他にも副作用が色々と…

さて「抗ヒスタミン薬」が花粉症などに使われる…と聞いて“あること”が浮かんだ方もいらっしゃるかとは思いますが、花粉症の薬と聞いて多くの方が想像するのが「副作用で眠気が出る」ではないでしょうか?(最近では眠気が少ない「抗ヒスタミン薬」も発売されています)

実は「抗ヒスタミン薬」は 眠気の他にも様々な副作用をもっていて、口渇(唾液が出にくくなって口の中が渇く)や便秘などといった症状が現れる場合もあります。このような副作用は薬によって副交感神経が遮断される作用(抗コリン作用)によって引き起こされるとされていますが、この抗コリン作用こそが眼圧へ影響を与える可能性があるのです。詳しい機序は割愛しますが、抗コリン作用により瞳孔が過度に開く(散瞳)場合があり、これが眼圧上昇につながり、果ては緑内障の悪化につながる可能性もあるのです。

もちろん、「抗ヒスタミン薬」を飲んだからといって必ず眼圧が上がるわけではなく、頻度は非常に稀です。しかも緑内障の中でも日本人では比較的少ない「閉塞隅角緑内障」と呼ばれる疾患を持つ場合には危険性が増すといわれているので多くの場合は問題が少ないとされています。しかし、「抗ヒスタミン薬」は総合感冒薬や花粉症の薬以外にも乗り物酔いの薬などの一部にも含まれている場合もあり、知らず知らずのうちに服用してしまう可能性も少なくありません。緑内障の治療を受けている方は予め、ご自分がどのような種類の緑内障であるかや「抗ヒスタミン薬」を飲んでも大丈夫かを確認しておき、風邪花粉症などで薬を服用する場合には念のため、医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。