◆アメリカで12万人規模の調査
著者らは以下の調査を行いました。
3つのアメリカにおけるコホート研究 (Nurses' Health Study, Nurses' Health Study II, and Health Professionals Follow-Up Study) においてベースラインで慢性疾患や肥満を生じていない120,784人の男性または女性を対象とし、4年間でのタンパク食消費やグリセミック負荷の変化及び体重増減との相関関係を、16から24年以上追跡した。その際生活様式の変化(喫煙、運動、テレビの視聴、睡眠)、BMIと全ての日常食生活での要素を補正した。
グリセミック負荷とは、血糖値を上昇させる程度をあらわす指標で、食事の中で摂取される炭水化物の質と量を示します。つまり約12万人の対象者について、4年間を目安として、食べているタンパク食品と、グリセミック負荷で測られる炭水化物の質及び量に対し、体重変化が関係あるかどうか調査を行いました。
◆特定の食品が、減量に効果を示す
著者らは以下の結果を得ました。
タンパク食品どうしの間では相関関係を示さなかったが、タンパク食品と炭水化物は負の相関関係(-0.39)を示した。タンパク食品の長期間における体重増加との関連は、種類によって異なった。正の相関として牛肉、皮付き鶏肉、レギュラーチーズが見出された(1日一食とるごとに0.13から1.17kg増加)。牛乳、豆類、ピーナッツまたは卵は関連がなかった。体重減少にはヨーグルト、ピーナツバター、クルミ、その他のナッツ類、皮なし鶏肉、低脂肪チーズと海鮮食品が相関関係(-0.14 〜 -0.71 kg)を示した。
つまり、ヨーグルト、ピーナッツバター、クルミとその他のナッツ類、皮なし鶏肉、低脂肪チーズと海鮮食品を食べた人がその後痩せていた、という結果になりました。牛肉や皮付き鶏肉、一般的なチーズは太る方向に作用していました。単にタンパク食品を変えるだけでは駄目で、ヨーグルト、ピーナッツバター、クルミが多い食事は全体として太りにくいメニューになりやすい、ということのようです。
著者らは、「タンパク食品は一般的に炭水化物と交換されやすく、タンパク食品とグリセミック負荷値の変動は長期間の体重増加に影響を与える」と結論づけています。このような具体的な品目について調べた結果は非常に重要で、食文化が異なる日本でも調査して欲しいと思います。
執筆者
Changes in intake of protein foods, carbohydrate amount and quality, and long-term weight change: results from 3 prospective cohorts.
Am J Clin Nutr. 2015 Apr 8.
[PMID: 25854882] http://ajcn.nutrition.org/content/early/2015/04/08/ajcn.114.100867.abstract※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。