◆アイスランドの1,438名分のデータを解析
研究班は、アイスランドで行われた大規模調査のデータを利用して、66歳から96歳の対象者1,438人について、血中の脂肪酸の濃度と、骨折頻度の関連を調べました。
◆PUFAの血中濃度が高い男性は骨折リスクが減少
解析から次の結果が得られました。
男性では、多価不飽和脂肪酸 (PUFA)、n-3(ω-3)脂肪酸、エイコサペンタエン酸 (EPA)の濃度が上位 1/3に当たる人で骨折のリスクが減少(それぞれハザード比0.60[95%信頼区間0.41-0.89]、0.66[0.45-0.95]、0.59[0.41-0.86])していた。
男性でPUFAの血中濃度が高い人は骨折が40%減少し、フィッシュオイルに特徴的とされるオメガ3脂肪酸やEPAといった脂肪酸が血中に多い人でも骨折が少なくなっていました。
この結果から、研究班は「PUFAの濃度が高いことは、中高齢者、特に男性において、骨粗しょう症性骨折リスクの減少と関連するかもしれない」と結論しています。
この研究の方法では、PUFAの効果とは別に、PUFAを多くする別の原因(たとえば、生活全体にわたって健康への意識が高い、など)が骨折を減らしていたとしても、見分けることができません。高齢者の骨折の原因については議論があり、この結果だけを見て単に「フィッシュオイルサプリメントで骨折を予防できる」と思うのはまだ早そうです。
執筆者
Plasma phospholipid fatty acids and fish-oil consumption in relation to osteoporotic fracture risk in older adults: the Age, Gene/Environment Susceptibility Study.
Am J Clin Nutr. 2015 May
[PMID: 25787995]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。