2015.05.31 | ニュース

聴神経腫瘍の手術のあと、結果が悪かった人の3つの特徴

スウェーデン395人の結果から

from Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry

聴神経腫瘍の手術のあと、結果が悪かった人の3つの特徴の写真

聴神経腫瘍の手術ではまれに、周りの神経が傷ついて、顔面麻痺や聴力を失うなどの結果に至ることがあります。スウェーデンの研究で、手術を受けた人の情報を統計解析したところ、女性、50歳より上、腫瘍の大きさが25mmより大きい、という3つの条件に当てはまる人は、手術の後に労働能力に悪い影響が出るリスクが比較的高かったという関連が見つかりました。

◆手術を受けた人に質問票で聞き取り

聴神経腫瘍は脳の良性腫瘍のうちでは頻度が高いものです。がんのように急に大きくなったり、ほかの臓器に広がっていくことはありませんが、周りの神経を圧迫するなどして症状を起こすことがあり、手術で取り除かれることもあります。

研究班は次のように、聴神経腫瘍の手術を受けた人を対象とした聞き取り調査を行いました。

これは1979年から2000年の間に単一施設において聴神経鞘腫の外科治療を受けた患者の部分的に収集された前向きデータを使う後ろ向き研究である。再発性の腫瘍、神経線維腫症2型の患者、質問票に答えることのできなかった患者は対象から除いた。

対象者には質問票を送り、手術後の生活の質、労働能力などについて尋ねました。

 

◆女性、50歳超、25mm超

質問票が送られた430人の対象者のうち、395人から回答がありました。

64歳未満の回答者の間では、年齢、性別、腫瘍の大きさが、手術後の労働能力の悪化と関連していました。特に、女性で、かつ50歳を超えていて、かつ腫瘍が25mmよりも大きい人はリスクが高くなっていました

 

手術には個人ごとに違う要素が複雑に関わり、全体としての傾向だけでは判断できないことも多くあります。また手術を行う外科医や医療機関によっても傾向が変わる可能性があり、スウェーデンで行われたこの調査が日本には当てはまらないことも考えられます。これから手術を受けるかどうか考えられている方は、手術の効果とリスク、ほかの治療との比較などについて医師とよく相談されるようお勧めします。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Age, gender and tumour size predict work capacity after surgical treatment of vestibular schwannomas.

J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2014 Jan

[PMID: 24058202]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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