2015.04.30 | ニュース

術後感染リスクについて糖尿病患者約2,000例を分析

糖尿病によって前十字靭帯再建術後感染リスクが増大

from The Journal of bone and joint surgery. American volume

術後感染リスクについて糖尿病患者約2,000例を分析の写真

前十字靭帯再建術(ACL再建術)とは、ひざ関節の中にある前十字靭帯を損傷した場合に行う移植手術のことです。 手術後の合併症の一つに、まれではありますが手術した部分の感染があります。 今回、ワシントン大学の研究チームが約2000例の解析を行い、ACL再建術後の感染のリスク要因として糖尿病が大きく関係していることを報告しました。

◆2198例を対象に、術後感染リスクを分析

2002年から2005年の2198例を対象に、ACL再建術後に生じる感染とリスク要因となりうる項目との関係を分析しました。
分析した項目は以下の通りです。

  • 年齢
  • BMI
  • 喫煙歴
  • 糖尿病の有無
  • 手術の方法(移植方法)

 

◆糖尿病があると術後感染リスクが増加

調査の結果、手術後に2198例のうち17例(0.8例)が感染していました。
リスク要因として糖尿病が特に大きく感染と関係していることが判明し、糖尿病患者は再建術後に感染するリスクが糖尿病患者ではない場合に比べて増加するという結果を示しています。
その他の要因としては手術の方法(移植の方法)がリスク要因として挙げられました。

 


糖尿病は傷口の治りを遅くしたり、免疫力を落としてしまうことが知られていますが、今回の大規模な解析でも糖尿病によってACL手術後の感染リスクが増加することが示されました。


糖尿病の中でも2型糖尿病は生活習慣病です。日頃の食生活や運動習慣を見つめ直す必要があります。
詳しい情報はこちら(https://medley.life/diseases/item/54e0a8109711e7c3261b6207)をご覧ください。

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Factors associated with infection following anterior cruciate ligament reconstruction.,

J Bone Joint Surg Am., 2015 Mar 18

[PMID: 25788300]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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