◆10年間にわたり1,644例の追跡調査を行う
研究グループは1994年から2002年の間にくも膜下出血後にコイル塞栓術もしくは開頭クリッピング術を行った症例をランダムに振り分け、その後、全1,644例を10年から18.5年に渡り追跡調査しました。
◆コイル塞栓術のほうが予後良好
10年間にわたり経過観察をした結果、生存率はコイル塞栓術は83%(809例のうち674例)、クリッピング術は79%(835例のうち657例)でした。
また障害なく自立して生活している人に絞った割合はそれぞれコイル塞栓術は82%、クリッピング術は78%という結果となり、統計解析によって、コイル塞栓術はクリッピング術よりも、生存確率と自立して生活できる確率が高い傾向にあることが認められました。
研究グループは「クリッピング術の方がコイル塞栓術に比べ死亡およびケアが必要になる確率が著しく高いことがわかった。また手術後の再出血はコイル塞栓術後の方が、開頭クリッピング術よりも発症しやすい傾向にはあるものの、障害なく自立して生活している確率が高いことからリスクは少ないのではないか」と述べています。
今回の研究では、コイル塞栓術がクリッピング術より良好な成績が得られたと報告しました。日本においては歴史が長く、また熟達した脳神経外科医が多いことから、クリッピング術が主流と言われています。
今回の研究結果を、現場の医師の方はどのようにお考えになるでしょうか?
2019年9月4日にメドレー編集部で一部回筆修正しました。
執筆者
The durability of endovascular coiling versus neurosurgical clipping of ruptured cerebral aneurysms: 18 year follow-up of the UK cohort of the International Subarachnoid Aneurysm Trial (ISAT).,
Lancet., 2015 Feb 21
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。