カプトプリル錠25mg「日医工」の添付文書
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効果・効能
本態性高血圧症、腎性高血圧症、腎血管性高血圧症、悪性高血圧。
用法・用量
通常、成人に1日カプトプリルとして37.5~75mgを3回に分割経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。なお、重症例においても1日最大投与量は150mgまでとする。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
重篤な腎障害のある患者では、血清クレアチニン値が3mg/dLを超える場合には、投与量を減らすか、又は投与間隔をのばすなど慎重に投与する[過度の血圧低下及び血液障害が起こる恐れがある]。
副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用(頻度不明)
- 血管浮腫:呼吸困難を伴う顔面腫脹、舌腫脹、声門腫脹、喉頭腫脹を症状とする血管浮腫が現れることがあるので、このような場合には、気管の閉塞を起こしやすくなるので、直ちに投与を中止し、アドレナリンの皮下注射、気道確保等適切な処置を行う。また、腹痛を伴う腸管血管浮腫が現れることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行う。
- 汎血球減少、無顆粒球症:汎血球減少、無顆粒球症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行う。
- 急性腎障害、ネフローゼ症候群:急性腎障害、ネフローゼ症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行う。
- 高カリウム血症:重篤な高カリウム血症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行う。
- 天疱瘡様症状:天疱瘡様症状が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心停止:狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心停止が現れたとの報告がある。
- アナフィラキシー:アナフィラキシーが現れたとの報告がある。
- 皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎が現れたとの報告がある。
- 錯乱:錯乱が現れたとの報告がある。
- 膵炎:膵炎が現れたとの報告がある。
その他の副作用(頻度不明)
- 血液:白血球減少、貧血、好酸球増多、血小板減少[投与を中止する]。
- 腎臓:BUN上昇、血清クレアチニン上昇、蛋白尿。
- 皮膚:発疹(発熱、好酸球増多を伴う発疹を含む)、皮膚そう痒、蕁麻疹、光線過敏症[投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 味覚:味覚異常[減量又は投与を中止する(通常、味覚の異常は可逆的である)]。
- 精神神経系:頭痛、眩暈、頭重感、眠気。
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、胃部不快感、腹痛。
- 肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇、肝障害、黄疸[投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 循環器:起立性低血圧、動悸、胸痛、胸部不快感、レイノー様症状、息切れ。
- その他:血清カリウム値上昇、咳嗽、脱力感、発熱、筋肉痛、口渇、口内炎、歯痛増強、知覚異常、嗄声、四肢のしびれ感、顔面潮紅、クームス試験陽性例、抗核抗体陽性例、低血糖。
使用上の注意
(禁忌)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[高度呼吸困難を伴う血管浮腫を発現する恐れがある]。
デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中の患者。
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析施行中(AN69を用いた血液透析施行中)の患者。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
アリスキレンフマル酸塩投与中の糖尿病患者(但し、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている]。
(慎重投与)
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者。
高カリウム血症の患者。
重篤な腎障害のある患者。
造血障害のある患者[好中球減少症、無顆粒球症等の副作用が発現することがある]。
全身性エリテマトーデス(SLE)などの免疫異常のある患者[好中球減少症、無顆粒球症等の副作用が発現することがある]。
重篤な肝障害のある患者[黄疸等の副作用が発現することがある]。
消化性潰瘍又はその既往歴のある患者[副作用として消化器症状が発現することがある]。
脳血管障害のある患者[過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある]。
光線過敏症の既往歴のある患者[副作用として発疹等の皮膚症状が発現することがある]。
高齢者。
(重要な基本的注意)
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下により急速に腎機能悪化させる恐れがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避ける。
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させる恐れがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避ける。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現する恐れがあるので、血清カリウム値に注意する。
本剤の投与によって次の患者では、初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行う:1)重症高血圧症患者、2)血液透析中の患者、3)利尿降圧剤投与中の患者(特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)、4)厳重な減塩療法中の患者。
アリスキレンフマル酸塩を併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。なお、eGFR(60mL/分/1.73㎡の腎障害でアリスキレンフマル酸塩併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避ける。
腎疾患の既往歴のある患者、腎障害のある患者では、本剤の投与により蛋白尿が現れやすいので、腎機能、尿所見に留意し、定期的に検査を行う。持続的な蛋白尿の増加傾向が認められる場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
腎障害のある患者に投与する場合には低用量より開始するなど特に注意する。
腎障害のある患者、重篤な自己免疫疾患(特に全身性エリテマトーデス)又は免疫抑制剤投与中の患者では、好中球減少、無顆粒球症が現れやすいので、血液像に留意して、定期的に検査を行う。白血球数の急激な減少あるいは白血球数4000/mm3未満となった場合には、白血球分画を含む経過観察を十分に行い、白血球数3000/mm3未満を示す場合には投与を中止する。
副作用発現の可能性が増大することがあるので、1日用量150mgを超える量は投与しない。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
血圧低下に基づく眩暈、ふらつきが現れることがあるので、本剤投与中の患者で高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に注意させる。
(相互作用)
併用禁忌:
- デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(リポソーバー、イムソーバTR、セルソーバ)[ショックを起こすことがある(陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートによりブラジキニンの産生が刺激され、更に本剤が、ブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇し、ショックを誘発すると考えられている)]。
- アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析(AN69)[アナフィラキシーを発現することがある(陰性に荷電したAN69によりブラジキニンの産生が刺激され、更に本剤が、ブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇し、アナフィラキシーを誘発すると考えられている)]。
併用注意:
- カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン等)、カリウム補給剤(塩化カリウム(補給剤)等)[血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム値に注意する((機序)本剤はアンジオテンシン2産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウム排泄を減少させる(危険因子)腎障害のある患者)]。
- 利尿降圧剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)[本剤初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす恐れがあるので、投与は少量より開始する(利尿降圧剤によるナトリウム排泄によって、レニン・アンジオテンシン系が亢進されているため、本剤によりアンジオテンシン2の産生が抑制されると、降圧作用が増強されると考えられている)]。
- アロプリノール[過敏症状(Stevens-Johnson症候群・関節痛等)が発現したとの報告があるので、患者の状態を注意深く観察し、発熱を伴う発疹等の過敏症状が発現した場合には直ちに両剤の投与を中止する(機序不明(危険因子)腎障害のある患者)]。
- リチウム製剤(炭酸リチウム)[併用によりリチウム中毒を起こすことが報告されているので、血中のリチウム濃度に注意する(明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、本剤がナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる)]。
- アドレナリン作動性ニューロン遮断剤(グアネチジン硫酸塩)、ニトログリセリン[降圧作用が増強される恐れがある(両剤の降圧作用による)]。
- アリスキレンフマル酸塩[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察する(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)、なお、eGFRが60mL/min/1.73㎡未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避ける(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
- アンジオテンシン2受容体拮抗剤[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察する(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤:
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤[降圧作用が減弱する恐れがある(プロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤[腎機能を悪化させる恐れがある(プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる)]。
- カリジノゲナーゼ製剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある(血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある)]。
(高齢者への投与)
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する[高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こる恐れがある)]。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止する[妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシン2受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢拘縮、頭蓋顔面変形、肺低形成等が現れたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある]。
本剤を投与された妊娠中の重症高血圧症の患者で、羊水過少症、また、その新生児に低血圧・腎不全等が現れたとの報告がある。
妊娠する可能性のある女性に投与する場合には、本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意する。
- 本剤投与開始前に妊娠していないことを確認し、本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認する。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止する。
次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明する。また、投与中も必要に応じ説明する。
- 妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがある。
- 妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談する。
妊娠を計画する場合は、担当医に相談する。
[妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシン2受容体拮抗剤を使用し、胎児への影響・新生児への影響(腎不全、頭蓋形成不全・肺形成不全・腎形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている]。
授乳中の女性に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる[ヒト母乳中へ移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
(臨床検査結果に及ぼす影響)
尿中ケトン(アセトン)が偽陽性を呈することがある。
(過量投与)
症例:33歳の女性に対し、カプトプリル(推量500~750mg)、アルプラゾラム10mgを投与、投与6時間後のカプトプリル血漿中濃度は5952μg/L、患者は、薬剤投与5時間後に入院し、その時低血圧になっていた(収縮期血圧80mmHg)、それから輸液とドパミンを30分以内、10μg/kg/minで点滴静注したところ血圧上昇、更に、入院後18.5時間目と24.5時間目に2回低血圧を発現したが、ドパミンにて上昇、その後入院期間中の血圧は正常になり、初期の嗜眠や全身脱力感の消失後は、他の症状の発現はなかった。
過量投与時の処置:低血圧-生理食塩液の点滴静注による体液量増加が、血圧の回復のために採るべき処置である。過量投与時、カプトプリルは、血液透析により成人の循環系から除去されるが、新生児又は小児に対しては、有効性のデータは不十分である(腹膜透析はカプトプリルを除去するのに有効ではない)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(その他の注意)
本剤投与中に高度の蛋白尿が認められた患者について腎生検を行ったところ、膜性腎症がみられたとの報告がある。
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより低血糖が起こりやすいとの報告がある。
(取扱い上の注意)
安定性試験:本品につき加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)を行った結果、カプトプリル錠12.5mg「日医工」、カプトプリル錠25mg「日医工」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
(保管上の注意)
気密容器。