ペランパネル(抗てんかん薬)
脳内の興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の作用する受容体への拮抗作用により神経細胞の過度な興奮を抑え、てんかん発作を抑える薬
ペランパネル(抗てんかん薬)の解説
ペランパネル(抗てんかん薬)の効果と作用機序
ペランパネル(抗てんかん薬)の薬理作用
てんかんは脳内で神経の過度な興奮がおこることによって痙攣などの発作があらわれ、小児、成人及び高齢者、男女を問わず幅広く発症する。
てんかん発作は大きく、部分発作、全般発作、分類不能(未分類てんかん発作)に分けられ、中でも部分発作は全症例の中でも半数以上を占める高頻度で発現する発作で、脳の局所的障害を伴う。全般発作はいくつかの種類に分類され、その一つに強直・間代発作がある。また、部分発作もいくつかの種類に分かれるが、その中に部分発作から強直・間代発作へ移行するもの(二次性全般化発作)もある。
脳には神経細胞が集積していて、神経伝達物質などの作用により神経細胞が興奮しシグナルが伝わり神経伝達がおこる。脳内の神経伝達に関わる物質の中でグルタミン酸は興奮性の神経伝達物質として作用する。グルタミン酸はシナプス後膜に存在するAMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型グルタミン酸受容体に作用することで神経細胞の興奮が引き起こされ、てんかん発作に深く関わるとされる。
本剤(ペランパネル)はAMPA受容体に選択的に結合することで、グルタミン酸のAMPA受容体への作用を抑制し神経細胞の過剰な興奮を抑え、てんかん発作(主に部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直・間代発作)を抑える作用をあらわす。ペランパネルは既存の(本剤以前に開発された)抗てんかん薬とは異なる作用の仕組みにより抗てんかん作用をあらわすため、既存の薬剤では治療が難しいような痙攣発作への有効性などが考えられている。
ペランパネル(抗てんかん薬)の主な副作用や注意点
- 精神神経系
症状 - めまい、
傾眠 、頭痛などがあらわれる場合がある - 易刺激性、攻撃性・敵意、不安などの精神症状があらわれる場合もあり、患者の状態や
病態 変化などに特に注意する
- めまい、
- 消化器
症状 - 吐き気、腹痛、下痢、口内炎などがあらわれる場合がある
- 皮膚症状
発疹 、痒みなどがあらわれる場合がある
- 併用に注意する薬剤
- 本剤は薬物
代謝 酵素 CYP3Aによって代謝されるため、この酵素を誘導する薬剤と併用する場合は注意が必要
・特に抗てんかん薬であるカルバマゼピン(主な商品名:テグレトール)やフェニトイン(主な商品名:アレビアチン)などの薬剤と併用する際、本剤の用量調節などが必要な場合もある
・セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)を含む食品の影響により本剤の血中濃度が低下する可能性がある
- 本剤は薬物
ペランパネル(抗てんかん薬)の一般的な商品とその特徴
フィコンパ
- 服用方法に関して
- 通常、1日1回寝る前に服用する
- 剤形に関して
- 錠剤のほか、細粒剤、注射剤があり、嚥下状況などに応じて選択が可能
- レボノルゲストレル(
経口避妊薬 などに含まれる黄体ホルモン )との相互作用(飲み合わせ)- 本剤と併用することで上記の薬剤の血中濃度が低下し、効果に影響が出る可能性がある