胃粘膜局所麻酔薬
局所麻酔作用により消化管運動などを抑え、過剰な消化管運動に伴う痛み、痙攣、吐き気、便意などを改善する薬

胃粘膜局所麻酔薬の解説

胃粘膜局所麻酔薬の効果と作用機序

  • 局所麻酔作用により消化管運動などを抑え、過剰な消化管運動に伴う痛み、痙攣、吐き気、便意などを改善する薬
    • 消化管運動が過剰になると消化管の痙攣、潰瘍や胃炎・腸炎の悪化などがおこる
    • 消化管に局所的に麻酔をかけると消化管運動や胃酸分泌などが抑制される
    • 本剤は主に消化管の粘膜などに局所麻酔作用をあらわす
  • 薬剤によっては、内視鏡検査などにおける咽喉頭・食道部の麻酔や口腔内麻酔などに使用する場合もある

胃粘膜局所麻酔薬の薬理作用

胃や腸などの消化管の運動が過剰になると胃・腸・食道などの痙攣、胃炎・腸炎・潰瘍などの発生や悪化、吐き気、腹痛、便意などがあらわれる場合がある。消化管に局所麻酔作用をかけると消化管の運動が抑えられたり、胃酸分泌作用などをもつガストリンというホルモンの分泌を抑制することなどにより消化管運動の亢進による諸症状の改善作用が期待できる。

本剤は主に消化管に対して局所麻酔作用をあらわすことで過剰な消化管運動や胃酸分泌などを抑える作用をあらわす。本剤の中には腸管の収縮を抑制することで腸などの痙攣を抑える(鎮痙作用)などの作用をもつ薬剤もある。

胃粘膜局所麻酔薬の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 便秘、食欲不振、口渇、吐き気などがあらわれる可能性がある

胃粘膜局所麻酔薬の一般的な商品とその特徴

ストロカイン

  • オキセサゼイン製剤
  • 局所麻酔作用、胃酸分泌抑制作用などをあらわす
  • 顆粒剤もあり、嚥下能力が低下した患者などへのメリットが考えられる
  • 服用に関する注意
    • 口内にしびれ等を残さないために、速やかに飲みくだすようにする
    • 錠剤に関しては(上記をふまえ原則として)かみ砕かないで服用する

スルカイン

  • 局所麻酔作用、小腸などの痙攣を抑える鎮痙作用などをあらわす
  • 顆粒剤(スルカイン配合顆粒:局所麻酔成分であるピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルに制酸成分の水酸化アルミナマグネシウム及び沈降炭酸カルシウムを配合)もあり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットも考えられる
  • 服用に関する注意
    • 口内にしびれ等を残さないために、速やかに飲みくだすようにする
    • 錠剤に関しては(上記をふまえ原則として)かみ砕かないで服用する

キシロカインビスカス

  • 主に表面麻酔に対して使用するリドカイン(局所麻酔薬)の液剤
    • 内視鏡検査などにおける咽喉頭・食道部の麻酔や口腔内麻酔などに使用する
    • ダンピング症候群(胃切除後障害の一つ)などの改善目的でも使用する
    • 用途などによって使用方法が異なる場合があるので注意する
  • その他、注意が必要な副作用に関して
    • 非常に稀だが、脈の乱れ(徐脈など)、血圧低下、呼吸抑制、意識障害などがおこる可能性があるので十分注意する