コリンエステラーゼ阻害薬(重症筋無力症などの治療薬)
神経伝達物質アセチルコリンの分解酵素(コリンエステラーゼ)を阻害し、アセチルコリンの分解を抑えアセチルコリンの作用を増強することで、重症筋無力症における目や口、全身の筋力低下などを改善する薬
コリンエステラーゼ阻害薬(重症筋無力症などの治療薬)の解説
コリンエステラーゼ阻害薬(重症筋無力症などの治療薬)の効果と作用機序
コリンエステラーゼ阻害薬(重症筋無力症などの治療薬)の薬理作用
重症筋無力症では免疫の異常により目や口などの様々な部分の筋肉の筋力が低下する。筋力低下は神経と筋肉の間の神経伝達物質であるアセチルコリンが免疫異常によって邪魔されてしまうためにおこる。アセチルコリンはコリンエステラーゼという酵素によって分解される。コリンエステラーゼを阻害すればアセチルコリンの量を増やすことができる。
本剤はコリンエステラーゼ阻害作用によりアセチルコリンの分解を抑えることで、アセチルコリンの作用を増強し重症筋無力症における筋力低下による、まぶたが開きにくいなどの目の症状、飲み込みにくいなどの口の症状、立ち上がりにくいなどの全身症状などの改善が期待できる。
また、アセチルコリンは副交感神経を亢進させる神経伝達物質でもあり、アセチルコリンの働きが増強すると副交感神経が刺激され、排尿筋が収縮し排尿が促される。そのため、本剤の中でジスチグミンなどは、重症筋無力症の症状改善のほか、手術後や神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難の改善にも使われることがある。
アセチルコリンは消化管の運動や瞳孔の調節などにも関与しており、本剤の過剰投与などによる特徴的な副作用に下痢、腹痛、吐き気、発汗、縮瞳(瞳孔が過度に縮小すること)、徐脈、呼吸困難などがある。内分泌系の異常によって危険な状態に陥っている状態をクリーゼというが、本剤の前記した副作用がおこる状態をコリン作動性クリーゼと呼ぶ場合がある。
コリンエステラーゼ阻害薬(重症筋無力症などの治療薬)の主な副作用や注意点
- 消化器
症状 - 下痢、腹痛、吐き気、唾液分泌過多などがあらわれる場合がある
- 骨格筋症状
- ピクピクとひきつるような筋肉の収縮などがあらわれる場合がある
- 本剤の過剰投与などによる副作用に関して
- 稀に過度な下痢、腹痛、発汗、縮瞳(瞳孔が過度に縮小する)、
徐脈 、呼吸困難などがみられる場合がある - 上記のような
症状 がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処する
- 稀に過度な下痢、腹痛、発汗、縮瞳(瞳孔が過度に縮小する)、