ていちたいばん
低置胎盤
胎盤が子宮口の近くに付着している状態。胎盤は子宮口を覆っていない
1人の医師がチェック 9回の改訂 最終更新: 2020.07.20

低置胎盤の基礎知識

POINT 低置胎盤とは

低置胎盤とは内子宮口(子宮の出口)の近くに胎盤がある状態のことを指します。医学的には胎盤の縁と内子宮口との距離が2cm以内の状態を目安にします。症状は性器からの出血が見られることがあり、この病気のリスクは「多産」「過去に帝王切開をしたことがある」「高齢での妊娠」「喫煙」などです。 低置胎盤で経腟分娩を行うと胎盤が剥がれた場所からの出血がとまりにくいことがあり、妊娠36-37週時になっても低置胎盤の状態が解消しない場合には、出血を回避するために帝王切開が選択される場合もあります。低置胎盤の人は早産や緊急帝王切開、分娩前後の大量出血のリスクがあるため、問題が起きた場合にも対応が可能な医療機関への通院や分娩が必要です。

低置胎盤について

  • 胎盤が正常より低い部位に付着しているが、子宮口を覆っていない状態
    • 子宮口と最も近い胎盤の辺縁の距離が2cm以内の状態が目安
    • 胎盤が子宮口を覆っている場合には前置胎盤と診断される
  • 分娩方式は帝王切開となることが多い
    • 妊娠36週-37週時の子宮口との距離によって経膣分娩が可能な場合もある
    • 経膣分娩で子宮口が開く過程で胎盤が剥がれてしまう可能性や胎盤が癒着している可能性があり、分娩時の出血量が多くなるリスクがある
  • 主な原因
    • 初産婦よりも経産婦に多い
    • 帝王切開の既往がある、子宮筋腫摘出術など子宮内の手術の既往がある
    • 流産手術や人工妊娠中絶の既往
    • 高齢妊娠
    • 喫煙 など

低置胎盤の症状

  • 多くの場合に自覚症状はない
  • 性器出血
    • 分娩後に出血量が多くなる可能性がある
    • 妊娠中に性器出血がみられた場合には、かかりつけの病院へ連絡する

低置胎盤の検査・診断

  • 経腟超音波検査
    • 胎盤の付着している位置を確認する
  • 骨盤MRI検査
    • 胎盤の位置の確認
    • 癒着胎盤の有無の確認

低置胎盤の治療法

  • 出血量が多くなった際に対応するための準備が必要となる
    • 特に、前回の帝王切開創部を胎盤が覆っている場合には、胎盤が癒着し出血が多くなる可能性がある
    • 出血の増加が認められた場合には、輸血の投与ができるように準備が必要
    • 事前に自分の血液を貯血し、産後に使用できるように準備することがある
    • 妊娠中に貧血を認めている場合には、貧血に対する治療を行う
    • 低置胎盤では分娩時に帝王切開が考慮されるが、経膣分娩となることもある
  • 子宮への負担を避けるため、過度な運動や性交渉は避けることが望ましい
  • 低置胎盤と診断されており人に自宅で性器出血がみられた場合には、病院を受診する必要がある
    • 緊急で帝王切開となる可能性がある
    • 手術を受ける前に胃を空にしておくほうが良いため、食事は控えることが望ましい

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