こうじょうせんろほうがん
甲状腺濾胞がん
甲状腺がんの一種。乳頭がんの次に多いタイプ。悪性度は低いことが多い
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最終更新: 2023.04.23
甲状腺濾胞がんの基礎知識
POINT 甲状腺濾胞がんとは
甲状腺がんの5-7%を占めます。症状は甲状腺のしこりが最も多く、進行すると声帯を動かす神経が麻痺して声がれがでたり、飲み込みにくさなどの症状がでます。診断は甲状腺超音波検査、病理検査などで行われます。良性の濾胞腺腫と悪性の濾胞がんの区別は術前には難しく、超音波検査での見た目や、腫瘍の大きさなどで手術を決定します。手術後の診断が濾胞がんであった場合、追加で甲状腺を全摘し、放射線のついたヨードを内服する治療を行うことがあります。がんの進行は遅いですが、骨や肺の転移を起こすことがあります。手術後の10年生存率は70〜80%と比較的良好です。甲状腺のしこりの原因は様々であり、まずは一般内科の受診で構いません。手術などの治療は耳鼻咽喉科や甲状腺外科で行われます。
甲状腺濾胞がんについて
甲状腺濾胞がんの症状
- がんの早期は無症状であることが多い
- 健康診断などで偶然見つかることもある
- がんが大きくなると、甲状腺のしこりとして触れる
- 首のリンパ節に転移すると、首にしこりを触れることがある
- がんが進行すると声がれや、飲み込みづらさが出ることがある
- 声帯を動かす神経が麻痺して声がれが起こる
- 声帯が麻痺すると、むせやすくなり、飲み込みにくさが出る
- 進行は遅いが、骨や肺に転移する場合もある
甲状腺濾胞がんの検査・診断
- 頸部超音波検査(エコー検査)
- 喉頭ファイバースコープ検査
- 声がれがある場合には、声帯の麻痺がないかを調べる
- 鼻から細くて柔らかいカメラを入れて、のどの奥を観察する
- 血液検査
- 甲状腺機能検査など
- 病理検査
- 甲状腺がんでは術前に細胞診(さいぼうしん)を行うことが多い
- がんを疑うしこりに針を刺して細胞を取り、悪性の細胞がないかを顕微鏡で調べる
- 細胞診のみでは、良性の腫瘍である甲状腺の濾胞腺腫との区別は難しい
- 最終的な診断は、手術で切り取った腫瘍を、顕微鏡でよく調べてがんかどうか判定する
- 頸部CT検査
- PET-CT検査
- 全身に転移がないかどうかを調べる
甲状腺濾胞がんの治療法
- 手術で腫瘍を切除するのが治療の原則
- 手術前に濾胞がんの診断をつけることは難しい
- 手術で摘出した腫瘍を顕微鏡で検査し、濾胞がんの確定診断と判定されることが多い
- 手術後に濾胞がんの診断がついた場合、追加で手術を行なうことがある
- 手術後の顕微鏡の検査で、悪性度が高い濾胞がんと診断された場合に行う
- 甲状腺を全て取り切る手術を行う
- 進行の程度で甲状腺全摘術後に追加治療を行う
- 手術後に甲状腺ホルモン、カルシウムを維持する飲み薬を必要とすることがある
- 甲状腺を全て摘出した場合は、甲状腺ホルモンを一生内服する
- 甲状腺の裏にある副甲状腺を一緒に摘出した場合には、カルシウムなどの飲み薬が必要
- ビタミンD製剤:通常ビタミンD製剤のみの内服で、カルシウムの維持が可能
- カルシウム製剤:ビタミンD製剤のみでカルシウムを維持できない場合に内服す
- 骨や肝臓に転移することがある
- 悪性度は高くないことが多く、10年生存率はおよそ90%程度と言われる
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