ふぐちゅうどく
フグ中毒
フグの内臓や皮に含まれる神経毒である「テトロドトキシン」による中毒
1人の医師がチェック 39回の改訂 最終更新: 2018.02.23

フグ中毒の基礎知識

POINT フグ中毒とは

フグの卵巣・肝臓・腸・皮膚などに含まれる神経毒である「テトロドトキシン」による中毒です。テトロドトキシンを摂取してから数時間ほどで症状が出てくることが多いです。症状としては軽いものでは唇や舌、手足の痺れなどが見られ、重症になると全身の筋肉に力が入らなくなり、呼吸がうまく出来なくなることによって亡くなることもあります。特効薬(抗毒素血清)はなく、治療としては胃の中を洗浄したり、呼吸がうまく出来なければ人工呼吸器を使用したりすることが中心となります。回復すれば後遺症を残すことは多くありません。フグ中毒が心配な方や治療したい方は救急科を速やかに受診してください。

フグ中毒について

  • フグの内臓や皮に含まれる「テトロドトキシン(TTX)」による中毒
    • テトロドトキシンは神経毒であり、摂取すると感覚や運動の神経を障害する
    • フグの種類や部位によって毒の強さは異なる
      • 肝臓、卵巣、腸などの内臓や、皮の毒が強い
      • 5-6月頃に毒性は最も強くなるが、フグは冬期に多く食べられるので、食中毒は11-3月頃に多い

フグ中毒の症状

  • 食後数十分から数時間程度で口の周りや舌、指先などがしびれる
    • その後しびれは全身に広がり、力も入りにくくなる
    • 吐き気、嘔吐もしばしば見られる
  • 重症の場合は呼吸をする筋肉が麻痺することで呼吸困難に陥る
    • 呼吸が停止して死亡する場合もある
    • テトロドトキシンの摂取後、数時間から半日以内に一気に症状が進んで呼吸が出来なくなることがあるので、初期に軽い痺れ症状しかなくても、病状を軽視してはいけない

フグ中毒の検査・診断

  • フグ毒を診断するための簡単な検査はなく、その直前まで元気でフグを食べていたといった病歴と症状から診断する

フグ中毒の治療法

  • フグ中毒が疑われた場合は症状に関わらず慎重な様子見、あるいは入院が必要
    • 亡くなるケースではフグ食後8時間以内が多いので、軽い症状でも慎重に様子をみるのがよい
    • 食べてしまった直後であれば、鼻からチューブを入れて胃の中を水で洗浄することもある
  • 有効な治療法や解毒法などは存在しないため、呼吸困難などに対して必要であれば人工呼吸などを利用する
    • 呼吸の補助さえできれば経過とともに回復が見込める
    • 回復すれば後遺症を残すことは多くない
  • テトロドトキシンは加熱や乾燥にも強いので、無免許の者が調理するのは非常に危険

フグ中毒の経過と病院探しのポイント

フグ中毒が心配な方

フグ中毒では、手足や口が痺れて、突然呼吸がしづらくなるといった症状が特徴です。フグを食べてから数時間の経過で息苦しさが生じたような場合には、注意が必要です。治療はICU (intensive care unit), HCU (high care unit) などと呼ばれる集中治療室のある病院で行われますが、フグ中毒の心当たりがある場合には、真っ先に近くの病院(クリニックではなく総合病院)に駆け込むか、救急車を呼びましょう。

フグ中毒の診断は検査ではなく、問診と症状から行います。血液検査や画像検査で、すぐにフグが原因の症状だと調べることはできません。

フグ中毒に関連する診療科の病院・クリニックを探す

フグ中毒でお困りの方

フグ中毒そのものに対する根本治療はありません。身体が毒を分解し切るまで時間を稼ぐことが重要であり、神経が麻痺して呼吸が止まってしまうようであれば、その間だけ人工呼吸器を使用して乗り切ります。したがって、クリニックのような施設ではなく、人工呼吸器のある医療機関を受診する必要があります。

すぐに治療が行えることが何よりも重要ですので、フグを食べた後にしびれや呼吸困難などの症状が出現したら、すぐに救急車を呼んで病院を受診しましょう。病院を自分で選択する余地はありませんので、救急隊の判断に任せるのが最善です。

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