ないそけいへるにあ
内鼠径ヘルニア
腹部の筋肉の隙間から小腸などの内臓が飛び出た状態。足の付け根内側に膨らみが見られる
4人の医師がチェック 29回の改訂 最終更新: 2018.08.29

内鼠径ヘルニアの基礎知識

POINT 内鼠径ヘルニアとは

いわゆる脱腸のことです。 ヘルニアとは体内の臓器などが本来あるべき場所から脱出・突出することを意味します。 内鼠径ヘルニアは腹膜(腸などお腹の臓器を包む膜)や腸がお腹の筋肉が弱ってできた筋肉の間に入り込んで鼠径部(足の付根の部分の周辺)の外側で飛び出した状態です。 足の付根周辺の膨らみや痛みなどをきっかけに発見されることが多いです。見た目で診断が行なわれて、超音波検査やCT検査などの画像検査でヘルニアの位置や中身などが確認されます。症状がない場合は経過観察することもありますが、ヘルニアの中身の血流が悪くなって壊死が疑われる場合には緊急手術が行なわれます。鼠径部にでっぱりがあって内鼠径ヘルニアが疑われる場合には外科を受診して治療の必要性について調べてもらってください。

内鼠径ヘルニアについて

  • 腹部の筋肉の隙間から小腸などの内臓が飛び出た状態
    • 中高年の男性に多い
    • 加齢などによる腹部に筋肉の壁が弱くなることで起こる
  • 外鼠径ヘルニアよりも内側よりに膨らみが見られる

内鼠径ヘルニアの症状

  • 鼠径部の膨らみ
    • 押しこむと元に戻ることもある
    • いきむことによって膨らみが強くでることがある
  • 嵌頓すると痛みが起こる

内鼠径ヘルニアの検査・診断

  • 画像検査
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査

内鼠径ヘルニアの治療法

  • 軽症で症状にも乏しい場合は様子を見る
  • 完治するるためには手術を行う
    • メッシュの膜を腹壁に埋め込み腸管が飛び出るのを防ぐ手術(テンションフリー法)が基本
  • ヘルニアの部分がもとに戻らず、痛くなったり赤くなったりする場合は緊急で手術を行うこともある

内鼠径ヘルニアの経過と病院探しのポイント

内鼠径ヘルニアが心配な方

内鼠径ヘルニアでは鼠径部(股の部分)の皮膚の裏側にでっぱりが出たり消えたりしますが、腸閉塞を引き起こして緊急手術が必要となることもある病気です。

どのような状況かによって受診する医療機関が変わってきます。足の付根が膨らんできて、その膨らみを改善させたいという場合は外科系のクリニックが良いでしょうし、その中でも時間が経過して痛みが強くなっている場合(嵌頓ヘルニア)は手術を前提で、外科のある総合病院で受診することをお勧めします。

内鼠径ヘルニアの診断は、多くのものは診察のみ(またはそれに加えて腹部エコー)で行えます。手術を前提により詳しく調べる場合には、腹部CTや腹部MRIの検査を行います。国内の総合病院であればほとんどのところにエコーやCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。

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内鼠径ヘルニアでお困りの方

内鼠径ヘルニアの根本治療としては、まずは徒手整復といって、出っ張ったヘルニアの部分を医師が慎重に内側に押し戻すことで行います。それで改善すれば良いのですが、どうやっても改善しない場合(症状が軽度であればそれでも様子を見ることも多いです)、あるいは長時間ヘルニアの状態が続いていて嵌頓ヘルニアになっている場合には、緊急手術を行います。

内鼠径ヘルニアの手術は外科手術の中では一般的なものの一つですので、外科のある病院であれば基本的に対応可能です。ただし平日の日中であれば良いのですが、土日祝日や夜間は院内に残っているスタッフが少ないため、緊急で手術を行える病院と、そうでない病院があります。ある程度の規模の病院や、外科手術の手術件数が多い病院の方が、時間外の緊急手術により迅速に対応できるところが多い傾向にあります。

手術を行う場合には、大きく分けて二通りの手段があります。開腹手術(お腹に傷を開けて行う手術)と腹腔鏡下手術(お腹に小さな傷を複数開けて内視鏡で行う手術)です。腹腔鏡下手術の方が傷口が小さくて済むために術後の回復が早い、傷口が目立ちにくいというメリットがある一方で、外科医にとっては開腹手術の方が病気の部位に直接手を触れながらなので手術が正確に行いやすいというメリットがあります。病院によってどちらの手術を主体で行っているかが異なるため、受けられる治療が変わってきます。

内鼠径ヘルニアを定期的に起こしていて、それ以上の発症を予防したい場合にも手術が行われます。こちらの場合、焦って受けなければならない緊急手術ではないので、外来に通院して医師と相談の上で、安心して手術を任せられる医師を選ぶことも重要な選択基準の一つです。

すべての手術に共通して言えることですが、ある程度の年間件数がある病院の方が術者が慣れていて望ましいと言えます。何件以上ならば良いと言うことは難しいのですが、地域の病院で比較して手術件数が少なすぎないことは、病院を探す上で参考になる基準の一つです。

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