はんせんびょう
ハンセン病
皮膚や末梢神経の障害が起きる、「らい菌」による慢性感染症
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最終更新: 2023.06.22
ハンセン病の基礎知識
POINT ハンセン病とは
ハンセン病は抗酸菌の一種である、らい菌による感染症です。非常に感染力が弱く一般的な生活の中で感染することはありませんが、親子などが濃厚に接触する場合に傷口や粘膜から感染すると考えられています。また免疫力の落ちている人は注意が必要です。とは言え、近年に国内でらい病を新たに発病した人はほとんどいないため、うつらないかを気にしすぎる必要はありません。ハンセン病になると皮膚が盛り上がり感覚が鈍くなったり、身体を動かしにくくなったりするという症状が出ます。また、症状が急速に悪くなるという現象(らい反応)が起こることがあります。皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察したり特殊な染色をしたりして診断します。3種類の抗菌薬を用いて治療します。ハンセン病が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。
ハンセン病について
- 皮膚や末梢神経の障害が起きる、「らい菌」による慢性
感染症 - 現在の日本で新規に感染する人はまれ
- 世界では年間25万人ほど新規に
発症 していると考えられている
- 親子など接触する機会が多い場合に、傷口や粘膜を通して乳幼児のときに感染する
- ヒトからヒトへの感染力は極めて低いことが判明している
- らい菌に対する
免疫 の強さにより分類されるが、免疫が弱い場合は重症となる- 全身で菌が繁殖することにより皮膚がぼこぼこする
症状 がでる
- 全身で菌が繁殖することにより皮膚がぼこぼこする
ハンセン病の症状
症状 が軽い場合- 皮膚の一部が盛り上がったり赤くなったりする
- 表面は毛が抜けて乾燥する
- 背中などが多い
- 皮膚
病変 の部分は感覚が障害される
- 皮膚の一部が盛り上がったり赤くなったりする
- 症状が重い場合
- 皮膚の広い範囲に左右対称にぼこぼこと盛り上がった病変や
紅斑 (赤い発疹 )が出る- 顔面にも症状が起こる
- 皮膚病変の部分の感覚障害は軽度であることが多い
- 皮膚の広い範囲に左右対称にぼこぼこと盛り上がった病変や
- 末梢神経の痛みや発熱、皮膚症状の急激な増悪が起こる「らい反応」という反応が起こることがある
ハンセン病の検査・診断
ハンセン病の治療法
- 3種類の
抗菌薬 (リファンピシン、ジアフェニルスルホン、クロファジミン)を飲む- 重症例は1年以上、軽症例では半年間の治療が必要
- 治療中に
症状 が悪化したり、途中で内服を中止するなどすると耐性菌 が出現することなどがある
- らい反応という急速な変化が起こった場合は、
ステロイド やNSAIDs を使用して炎症 を抑える
ハンセン病に関連する治療薬
ジアフェニルスルホン製剤
- 炎症を起こす原因となる活性酸素や皮膚を攻撃する体内物質の産生を抑え紅斑や水ぶくれなどの皮膚症状を改善する薬
- 皮膚炎の原因の中には体内で発生する活性酸素や免疫反応において産生した物質による皮膚への攻撃などがある
- 天疱瘡は免疫反応で産生した物質が皮膚(皮膚細胞をつなぐタンパク質)へ攻撃することによりおこる
- ジアフェニルスルホンは活性酸素や免疫反応を担う物質などの産生抑制作用をあらわす
- 本剤はハンセン病の原因菌である「らい菌」の増殖阻止作用ももつ
ハンセン病のタグ
ハンセン病に関わるからだの部位

