かんせつないゆうりたい(かんせつねずみ)
関節内遊離体(関節ねずみ)
関節の中に軟骨や骨のかけらがある状態
5人の医師がチェック 42回の改訂 最終更新: 2024.08.16

関節内遊離体とは:原因、症状、検査、治療など

関節内遊離体とは、骨や軟骨の欠片が関節内にある状態を指します。欠片があっても普段は困らないことも多いですが、関節の隙間に挟まったり引っ掛かると、激痛や可動域制限が起きます。ここでは関節内遊離体について原因、症状、検査、治療法などを広く解説します。

1. 関節内遊離体(関節ねずみ)とはどんな状態か

関節内遊離体とは、骨や軟骨の破片が関節の中にある状態のことです。破片があっても普段は何も困らないことも多いですが、破片が関節の隙間に挟まったり引っ掛かることがあります。そうすると、強い痛みや関節の動かしにくさを自覚します。骨や軟骨の破片が関節内をチョロチョロと動き回る様子から「関節ねずみ」と呼ばれることもあります。

関節内遊離体の原因:離断性骨軟骨炎や変形性関節症など

関節の中に骨や軟骨の欠片が生じてしまう原因として、さまざまな病気やケガが挙げられます。代表的な原因には以下のようなものがあります。

【関節内遊離体を生じる主な原因】

したがって、関節内遊離体があるときには遊離体に対する治療だけでなく、上記のような原因に対する治療も同時に考える必要があります。

関節内遊離体のできる箇所:膝、肘、足首、股関節など

関節内遊離体は以下の関節で多く起こります。

【関節内遊離体を生じる主な関節】

  • 膝関節
  • 肘関節
  • 足関節(足首)
  • 股関節 など

関節内遊離体は理論的には全身のさまざまな関節に生じうるものですが、ほとんどは負担のかかりやすい上記の関節のどこかに生じます。膝や肘にできる頻度が特に多いと言われています。

2. 関節内遊離体(関節ねずみ)の症状について

関節内遊離体があっても、普段は無症状の人も多くいます。しかし、骨や軟骨の破片が関節の隙間に挟まったりすることで、以下のような症状が出現します。

【関節内遊離体の主な症状】

  • 関節が痛む(繰り返し急な痛みが出る)
  • 関節が動かしにくい
  • 関節に違和感がある
  • 関節に水がたまる(関節水腫) など

普段は無症状なのに、急に強い痛みと関節の可動域制限が出てくるのは、関節内遊離体に特徴的な症状です。

3. 関節内遊離体(関節ねずみ)の検査、診断について

関節内遊離体の症状は特徴的なので、症状を確認するだけである程度「関節内遊離体があるのかも?」と目星をつけられることもあります。関節内遊離体があるという診断を確定するため、また関節内遊離体ができた原因を確認するために、レントゲンX線)検査やMRI検査などが行われます。

問診、診察

医療機関を受診すると、まずはお医者さんによる問診と診察が行われます。主に以下のようなことがチェックされます。

【問診・診察でのポイント】

  • 年齢、性別
  • 関節の痛む箇所
  • 痛みの出現状況
  • スポーツ歴、職業歴 など

特に、スポーツ歴や職業歴は関節内遊離体の発症に大きく関わります。例えば、野球を子どもの時から長くプレーしていた人は、野球肘が原因で関節内遊離体を生じることがあります。また、長年に渡って重いものを持ち運ぶような重労働によって変形性関節症となり、そこから関節内遊離体を生じることもあります。

こうした内容を確認し、必要に応じて以下のような検査を行っていきます。

レントゲン(X線)検査

レントゲン検査は、関節内遊離体の診断を進めるうえで最もよく行われる検査です。骨の状態が簡単に確認できるのでしばしば行われます。しかし、レントゲン検査で全ての骨・軟骨の破片を検出するのは困難です。また、関節周りの筋肉や靭帯の異常を見つけるのには適しません。それらの異常をより詳細にチェックするためにはMRI検査を行うのが一般的です。

CT検査

CT検査では、レントゲン検査よりも精密に関節の骨の状態が分かります。そのため、レントゲン検査に追加してCT検査も行われることがありますが、筋肉や靭帯などの異常を見つけるのはMRI検査のほうが得意です。したがって、関節内遊離体をはじめとした関節の病気やケガに対する検査としては、CT検査よりもMRI検査のほうが多く行われています。CT検査は子どもでは特に、放射線被曝の問題も頭の片隅に入れる必要があります。

MRI検査

MRI検査は関節内遊離体を検出して、さらにその原因を調べるための精密検査として広く行われている検査です。骨や軟骨だけでなく、筋肉、靭帯などの様子を細かく観察することができます。どの医療機関でも行えるような検査ではなく、検査費用も3割の自己負担で4,000円から5,000円ほどします。そのため、レントゲン検査で異常が乏しく、それほど困っている症状がないような人では必ずしもMRI検査は行われません。

4. 関節内遊離体(関節ねずみ)の治療について

関節内遊離体とは関節内に骨や軟骨の欠片が存在することです。以下では治療の基本方針について説明します。

安静:関節に負担をかけすぎないようにする

遊離している骨や軟骨の欠片が小さい人では、スポーツを休止するなど安静にして様子をみることも可能です。現在はスポーツなどをしておらず、症状としてもあまり困っていない人では、関節に負担をかけないようにするだけで様子をみることも多いです。ただし、骨や軟骨の欠片が自然に消失することは期待しがたいので、スポーツに復帰したい人や症状で困っている人では早めの治療が検討されます。

手術

安静にするだけでは根本的な解決は望みにくいので、症状が強い人では積極的に手術が検討されます。関節鏡という一種の内視鏡を使うことによって、大きく関節周囲の皮膚を切り開かなくても手術できます。

関節鏡下に遊離体を除去すれば、ほぼ完治が期待できます。一方で、関節内遊離体が生じてしまった原因となる病気やケガに対しては、それぞれの原因に応じた別のアプローチが必要です。