うぃるそんびょう(せんてんせいどうたいしゃいじょうしょう)
ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)
先天的な銅の代謝異常により、過剰な銅が脳や肝臓に溜まり障害が起こる病気
8人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2018.03.01

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)の基礎知識

POINT ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)とは

ウイルソン病は、胆汁への銅の排泄が著しく低下して肝臓や脳に銅が蓄積する稀な病気です。 遺伝性疾患で常染色体劣性遺伝という形式で遺伝をします。銅の蓄積により肝臓の機能が低下したり中枢神経に影響して様々な症状を引き起こします。 ウィルソン病の診断には血液検査や尿検査、肝生検などを用います。治療は銅を多く含む食事を避けたり、銅を身体の外に排泄しやすくする薬を用います。肝臓の機能がかなり低下している場合には肝移植が検討されることもあります。

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)について

  • 先天的な銅の代謝異常により、過剰な銅が脳や肝臓に溜まり障害が起こる病気
    • 銅は身体のあらゆる組織に存在している
  • 銅を体内で運ぶことに関わる遺伝子の異常で発症する
    • 常染色体劣性遺伝する
    • およそ30,000人に1人程度の有病率とされている
  • 脳および肝臓に過剰な銅が沈着する
    • 10-15歳以降に症状が起こる
  • 難病に指定されており、申請することで治療を行うための医療費の援助を受けることができる

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)の症状

  • 肝臓の障害、中枢神経症状、目の異常が特徴
  • 肝臓の障害
    • 倦怠感
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 黄疸(眼や皮膚が黄色くなる)
  • 中枢神経症状:パーキンソン病に似た症状
    • しゃべりづらさ(構音障害
    • 飲み込みづらさ(嚥下障害
    • 筋肉のこわばり、手のふるえ
    • 意識障害
    • 集中力低下
  • 目の症状
    • 銅が角膜に付着し茶色の輪ができる(カイザー・フライシャー輪)

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)の検査・診断

  • 症状に加えて血液検査や尿検査で診断可能

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)の治療法

  • 溜まった銅の除去と、さらに銅が溜まらないようにする
  • 銅を体内に入れないようにする
    • 銅が多くはいっている食べ物を避ける
      • チョコレート、ナッツ、甲殻類、レバーなど
    • 銅製の食器を避ける
  • 銅を排泄する
    • キレート剤を服用する
      • ペニシラミン
      • トリエン
  • 銅の吸収を抑える
    • 亜鉛が銅の吸収を抑える効果がある
  • 神経症状に対しては抗パーキンソン病治療薬やボツリヌス毒素による治療が行われることがある
  • 肝機能の低下が大きければ肝移植も検討

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)のタグ

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)に関わるからだの部位