てんぽうそう(じんじょうせいてんぽうそう、らくようじょうてんぽうそう)
天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)
免疫の異常によって、皮膚や粘膜に水疱ができる病気
7人の医師がチェック 92回の改訂 最終更新: 2022.01.24

天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)の基礎知識

POINT 天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)とは

免疫の異常によって皮膚や粘膜に水疱(水ぶくれ)ができる病気です。皮膚の細胞をつなぐデスモグレインというタンパク質に対して、本来は外敵から身を守ってくれる免疫機能が障害を与えてしまうことによって起こります。天疱瘡になると、口の中や唇、全身の皮膚に水ぶくれができてただれます。天疱瘡が疑われる人には血液検査や病理検査(水疱を切り取って顕微鏡で観察する検査)によって診断され、ステロイド薬や免疫抑制薬、血液浄化療法によって治療されます。天疱瘡が心配な人は皮膚科を受診してください。

天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)について

  • 免疫の異常によって、皮膚や口腔内に水疱(水ぶくれ)ができる病気
    • 皮膚の細胞をつなぐデスモグレインというタンパク質に対する抗体が皮膚を攻撃するため、皮膚がはがれ内側から水が溜まり、水疱ができる
  • 難病に指定されおり、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる

天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)の症状

  • 口の中、唇や全身の皮膚に水ぶくれができて、破れてびらんとなる
  • 水ぶくれは張っておらず破れやすい
  • 一見何もない健康な皮膚をこすると同じような水ぶくれができる(ニコルスキー現象)

天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)の検査・診断

  • 血液検査:血液中に抗デスモグレイン抗体や好酸球などを調べる
  • 病理検査:水疱ごと皮膚を切り取って顕微鏡で観察する

天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)の治療法

  • ステロイド薬内服:異常に働いている免疫を抑える
  • ステロイド薬内服で改善しない場合
    • ステロイドパルス療法
    • 免疫抑制薬
    • 血液浄化療法(アフェレーシス)
    • 免疫グロブリン大量静注療法
    • リツキシマブ
  • 落葉状天疱瘡では皮膚の炎症を抑えるレクチゾールの内服剤が使われることがある

天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡)に関連する治療薬

ジアフェニルスルホン製剤

  • 炎症を起こす原因となる活性酸素や皮膚を攻撃する体内物質の産生を抑え紅斑や水ぶくれなどの皮膚症状を改善する薬
    • 皮膚炎の原因の中には体内で発生する活性酸素や免疫反応において産生した物質による皮膚への攻撃などがある
    • 天疱瘡は免疫反応で産生した物質が皮膚(皮膚細胞をつなぐタンパク質)へ攻撃することによりおこる
    • ジアフェニルスルホンは活性酸素や免疫反応を担う物質などの産生抑制作用をあらわす
  • 本剤はハンセン病の原因菌である「らい菌」の増殖阻止作用ももつ
ジアフェニルスルホン製剤についてもっと詳しく

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