がいそけいへるにあ
外鼠径ヘルニア
俗に「脱腸」と呼ばれる病気の一種で、内鼠径輪という筋肉と筋肉の間のすきまに、腸がはまり込んでしまうもの
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最終更新: 2018.08.24
外鼠径ヘルニアの基礎知識
POINT 外鼠径ヘルニアとは
いわゆる脱腸のことです。 ヘルニアとは体内の臓器などが本来あるべき場所から脱出・突出することを意味します。 外鼠径ヘルニアは腹膜(腸などお腹の臓器を包む膜)や腸がお腹の筋肉が弱ってできた筋肉の間に入り込んで鼠径部(足の付根の部分の周辺)の外側で飛び出した状態です。足の付根周辺の膨らみや痛みなどをきっかけに発見されることが多いです。ほとんどが見た目で診断が行なわれて、超音波検査やCT検査などの画像検査でヘルニアの位置や中身などが確認されます。 症状がない場合は経過観察することもありますが、ヘルニアの中身の血流が悪くなって壊死が疑われる場合には緊急手術が行なわれます。鼠径部にでっぱりがあって鼠径ヘルニアが疑われる場合には外科を受診して治療の必要性について調べてもらってください。
外鼠径ヘルニアについて
- 俗に「脱腸」と呼ばれる病気の一種で、内鼠径輪という筋肉と筋肉の間のすきまに、腸がはまり込んでしまうもの
- 脱腸のほとんどが外鼠径ヘルニアに当てはまる
- 生まれつき内鼠径輪が大きく開いている場合に生じやすい
- 内鼠径輪は、小児が成長して精巣が陰のうの中に下降した後は、多くの場合、自然に閉鎖してしまう
- 子どもに多い
- 子どもの場合では生まれつきとされており、遺伝性についての関連性はほとんどない
- 大人の場合は主に老化が原因といわれている
- 年齢とともに内鼠径輪周辺の筋力が衰え、下腹部に力が加わった時に、少しずつ内臓の一部が腹膜とともに外に出てしまう
罹患率 は子どもの1~5%である- 男児に多いが女児にも同様に見られる
- 右にも左にも出ることがあり、両側に出ることもある
外鼠径ヘルニアの症状
- 鼠径部(足の付け根)にしこり状のものを触れる
- 押さえることでその膨らみがなくなる場合がある
- 飛び出した臓器の血流が悪くなると、腫れたり痛みが起こる
- 腫れが硬くなっていたり、激痛や吐き気がある場合は緊急の手術が必要な場合もある
外鼠径ヘルニアの検査・診断
超音波検査 :鼠径部の腫瘤(ふくらみ)の有無を調べる- 明らかな出っ張りがある場合は、触って確認した後にいきんでお腹に力を入れてもらい、
ヘルニア が出てくるか確認する
外鼠径ヘルニアの治療法
- 強い痛みなどがなければ
経過観察 することもある - 治療方法は手術のみ
- 飛び出している袋を切除して縫い合わせて腸が出てこないようにしたり、メッシュと呼ばれる人工物でお腹の壁を補強することもある
- 生後6か月以内であれば、約30%程度は自然
治癒 するといわれている- しかし、1歳以降になると自然に治ることはほとんどない
- 臓器が戻らなくなる「
嵌頓 (かんとん)」という状態を起こすと緊急の治療が必要