さいきんせいせきり(えきり)
細菌性赤痢(疫痢)
赤痢菌という細菌によって引き起こされ、下痢を主な症状とする病気
5人の医師がチェック 93回の改訂 最終更新: 2017.12.06

細菌性赤痢(疫痢)の基礎知識

POINT 細菌性赤痢(疫痢)とは

細菌性赤痢は赤痢菌の感染によって起こる病気です。戦後は年間数万人が罹患していましたが、現在は非常に減っています(年間500-600人程度)。主な症状は高熱・水のような下痢・だるさなどになります。 便の中に赤痢菌がいるかどうかを検査して診断します。治療には抗菌薬を用います。細菌性赤痢が心配な人や治療したい人は、消化器内科や感染症内科を受診して下さい。

細菌性赤痢(疫痢)について

  • 赤痢菌という細菌によって引き起こされ、下痢を主な症状とする病気
    • 赤痢菌がついた食べ物や飲み物を口にすることで起こる
  • 日本では年間に500-600人程度発症している
    • 戦中前後には年間に数万人が罹患していた
  • 国外で感染することが多い(60-70%)
  • 感染症法の3類感染症に分類されており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある

細菌性赤痢(疫痢)の症状

  • 感染してから症状の出ない期間(潜伏期間)は1-3日程度である
  • 以下の症状が主に出現する
    • だるい、疲れやすい
    • 寒気
    • 高熱
    • 水っぽい下痢
    • 血便
    • しぶり腹(便意は強いがなかなか便が出ないこと)

細菌性赤痢(疫痢)の検査・診断

  • 便検査:培養を行って赤痢菌があるか調べる

細菌性赤痢(疫痢)の治療法

  • 抗菌薬を使って赤痢菌を倒す
    • ニューキノロン系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬、ST合剤など
    • 近年、特にST合剤やテトラサイクリン系抗生物質に対して耐性化(効かなくなる傾向)が見られているので注意が必要
  • 点滴:水分や栄養分を補う
  • 水道が整備されていない国の生水を飲まないこと、手洗いを行うことで予防することができる
  • 海外旅行中あるいは帰国後に下痢などの症状が出たら、病院へ行って検査を行う

細菌性赤痢(疫痢)に関連する治療薬

ニューキノロン系抗菌薬

  • 細菌の増殖に必要な酵素を阻害して殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の増殖にはタンパク質合成が必要でそれには遺伝情報をもつDNAという物質が不可欠となる
    • DNAの複製にはいくつかの酵素の働きが必要となる
    • 本剤はDNA複製に必要な酵素を阻害し抗菌作用をあらわす

  • 尿路感染症、腸管感染症、呼吸器感染症など幅広い感染症で有効とされる(薬剤によって抗菌作用の範囲は異なる)
ニューキノロン系抗菌薬についてもっと詳しく

細菌性赤痢(疫痢)の経過と病院探しのポイント

細菌性赤痢(疫痢)が心配な方

細菌性赤痢は、海外を中心に見られる消化管の感染症です。衛生状態が良くない国で水道水を飲んだり生もの(かき氷やカットフルーツを含む)を食べたりして感染することが多いです。人から人へと周囲へ感染するため、海外で感染した人が帰国した後に、その人が基となって周囲へ感染が拡大していくこともあります。そのような方が周囲にいる場合、あるいはご自身が海外旅行の最中や帰国後に、腹痛・熱・下痢・血便が出た場合には細菌性赤痢の可能性があります。

細菌性赤痢を疑った場合には、まずはお近くの内科のクリニックを受診するようにしましょう。一般内科でも良いですし、その中でも絞り込むのであれば消化器内科が専門の診療科です。診断は便から赤痢菌が検出されるかどうかで確定します。しかしすぐに結果が出る検査ではありません。海外で感染するような腸炎の多くは抗菌薬の使用で改善しますので、原因が赤痢菌だということが分からなくても結果的には治ってしまう場合もあります。ただし、抗菌薬が無効な腸炎や抗菌薬を使用しない方が良い腸炎もあるため、症状や経過から大きな方向性(細菌性かウイルス性か、検査を行って病原体を突き止める必要性がどの程度高いかなど)を判断するのが医療機関の主な役割となります。

この判断をする上で、どこで感染したかという情報がとても大切ですので、帰国後の方はいつからいつまでどこに旅行をしていたかを医師にぜひ伝えてください。

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細菌性赤痢(疫痢)でお困りの方

細菌性赤痢の場合に気をつけなければならないのが、脱水からの衰弱を予防することです。下痢が治まらないことで体の水分が失われ、また吐き気や食欲不振によって水分摂取量も減ってしまいます。すると脱水になって余計に食欲がなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

脱水症の治療は、不足している水分に加えて塩分もしっかりと摂取することです。スポーツドリンクを飲むことができればそれが最も適切な治療になりますし、スポーツドリンクでは塩分がまだ薄いため、食塩を溶かして飲むのも良いでしょう。塩辛くて飲めないほどにする必要はありませんが、ほんのり塩の味を感じるくらいだとより適切です。どうしても口から飲めない方の場合には入院の上で点滴を行い、必要な量の水分をとるようにします。

また、細菌性赤痢は感染性が強いため周囲の方に感染が拡大しないよう注意が必要です。赤痢菌は便の中に含まれています。したがって、本人はトイレの後には周囲をあちこち触る前に必ず手洗いをすること、そして周囲の方は食事をする前に必ず手洗いをすることが重要です。

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