耳介血腫の基礎知識
POINT 耳介血腫とは
耳介血腫は耳に生じた内出血で、柔道や相撲といったスポーツで特に多く発生します。皮膚の裏側で出血が広がり、耳が腫れて青紫色になったりします。治療は、溜まった血液が多い場合には、血液を注射して抜き取り、腫れないように圧迫を行います。圧迫している間は原因となったスポーツは控えましょう。耳介血腫を繰り返したり、感染を起こすと、耳が変形してしまうことがあります。耳介血腫は再発しやすいため、耳に強い刺激を受ける競技をするときは、ヘルメットやヘッドギアなどで耳を刺激から守ると良いでしょう。治療は耳鼻科や救急科が主体となりますが、整形外科や外科などで可能な場合もありますので、問い合わせてみてください。一般的なクリニックでも対応可能です。
耳介血腫について
- 耳の皮膚の下に
血腫 (血の塊)ができて、腫れた状態- 耳への刺激により、皮膚の下に内出血を起こす
- 耳の皮膚と
軟骨 の間や、軟骨膜と軟骨の間、軟骨の内部に血液が溜まる - 耳の裏側より、耳の表側が腫れることが多い
- 主な原因
- 耳を強く圧迫される
- 耳を打ち付ける
- 格闘技や、コンタクトスポーツの競技者に多い
- 柔道、相撲、ラクビー、レスリングなど
- 耳介血腫を繰り返すと、耳の変形が起こることもある
耳介血腫の症状
- 耳の表側の上半分が腫れ上がる
- 腫れた部分は、青紫色に見えることもあり、徐々に黄色透明になる
- かゆみや、熱い感じを伴うことがある
- 痛みは軽度
- 痛みが強い場合には、耳の
軟骨 に感染や炎症 を起こしていることがある - 感染や炎症を起こすと、耳が変形するため、早めの治療が必要
- 痛みが強い場合には、耳の
耳介血腫の検査・診断
- 状況の
問診 と診察を行うことで診断される
耳介血腫の治療法
- 腫れがごく軽い場合
- 自然に
治癒 することもある
- 自然に
- 腫れが強い場合
- 血の塊(
血腫 )を取り除く- 腫れた部分に、針を刺して血を抜く
- 血が内部で固まると、針では血が抜けないため、小さく皮膚を切って、血の塊(血腫)を取り除く
- 腫れていた部分を圧迫する
- 血の塊(血腫)を取り除いたのみでは、再度血が溜まりやすい
- 取り除いた部分をガーゼなどで圧迫して、糸などで固定する
- 圧迫の方法は病院によって、様々な方法が行われている
- 血の塊(
- 感染しないようにする
- 感染を起こすと、耳の変形を起こしやすくなる
- 痛みの悪化があるときは、早めに病院に受診する
- 予防、再発防止法
- 耳に強い刺激を与えないようにする
- 格闘技やスポーツを行う際には、頭のサイズに合った、ヘルメットやヘッドギア等で刺激から守る
耳介血腫の経過と病院探しのポイント
耳介血腫でお困りの方
耳介血腫は、耳に生じた内出血で、柔道や相撲といった競技で特に多く発生します。外に出血するわけではないのですが、皮膚の裏側で出血が広がり、耳が腫れて青紫色になったりします。競技やスポーツで頭部をぶつけた場合に多いですが、特に原因に心当たりのない状態で発症することも報告されています。
耳介血腫の治療は、内部に溜まった血液を注射して抜き取ることです。少量であればそのままにしておいて自然と治るのを待っても良いのですが、血液がその後そのまま固まって耳が変形してしまうことがありますので、可能であれば治療を行うことが勧められます。治療は耳鼻科や救急科が主体となります。中には整形外科や一般外科で行えるところもあるでしょう。特殊な機材が必要な治療ではありませんので、総合病院ではなくお近くのクリニックで対応が可能です。
血液を抜く治療は一回で終わらないことが多く、必要に応じて繰り返し行われます。抜いても自然にまた溜まってきてしまう場合や、あるいは競技を中断できないために数日おきに外傷を繰り返して新たな血腫が生じてしまう場合があります。本来であれば治療後は数日間運動を控えるのが耳のためには望ましいのですが、プロスポーツ選手や、競争の激しいクラブ活動などでは休むのが困難な場合も多いです。血腫を繰り返すと少しずつ耳の変形が進んでしまうため、治療後はなるべく耳を圧迫して、再び膨らんでしまいにくくなるよう工夫します。
その上で長期的に変形が進んでしまった場合には、形成外科で耳を整形する手術を行うという方法もあります。形成外科によって専門性が異なるため、受診の際には事前に医療機関にお問い合わせ頂くのが良いでしょう。