漂白剤誤飲の基礎知識
POINT 漂白剤誤飲とは
トイレやパイプの掃除などで使う漂白剤剤を誤って飲み込んでしまうことです。子どもや高齢者に多い傾向になります。漂白剤を誤飲するとその影響で口やのど、食道、胃の粘膜が傷つき、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。また、漂白剤の影響で食道や胃、腸に穴があくことがあり、縦隔炎や腹膜炎を起こし深刻な状況に陥ることがあります。漂白剤誤飲が起こったら、まず口の中に漂白剤があるかどうかを見て、見える範囲にある場合は、取り除いてください。見える範囲にない場合は、すみやかに病院を受診してください。診察を受けるまでの間は薬の吸収を遅らせるために冷えた牛乳や卵の卵白を飲ませるとよいです。漂白剤誤飲は救急科や小児科などで治療を受けることができます。
漂白剤誤飲について
- 酸性やアルカリ性の強いトイレ洗剤、パイプ洗浄剤の誤飲などにより、口やのど、食道、胃などの粘膜や筋肉が損傷を受けた状態
漂白剤誤飲の症状
漂白剤誤飲の検査・診断
- 摂取した薬剤の特定(同様の
症状 を起こすクレゾール中毒や洗剤、界面活性剤中毒などは治療法が異なるため)- 検査で特定することは極めて難しく、自宅で状況を見ていた人からの情報や、現場の空き容器などの証拠が重要となる
漂白剤誤飲の治療法
- 応急処置
- 冷えた牛乳や卵白を飲ませることで、薬物の吸収を遅らせる
- 無理に吐かせない、水を飲ませない
- 病院での処置
- 通常胃の洗浄は行わないが、大量の洗浄剤を飲んだ場合慎重にチューブを挿入して洗浄剤を除去することもある
- 点滴に加え
抗菌薬 の使用などで対症療法 を行うこともある- 胃粘膜を保護する防御因子増強薬を使うことがある
- 重症の場合
- 胃などに穴が開いている場合は手術が必要となる
- のどの腫れにより呼吸困難に陥った場合は気管挿管などによる気道確保が必要
漂白剤誤飲の経過と病院探しのポイント
漂白剤誤飲が心配な方
漂白剤誤飲では、口や食道のひりつき、吐き気や嘔吐といった症状が出ます。ご自身のことであれば飲んでしまったかどうかはすぐに分かるかと思いますが、お子さんや、介護が必要な方が「もしかしたら置いてあった漂白剤を飲んでしまったかもしれない」という事態も救急の現場ではしばしば見られることです。
もしそのような事態が生じたら、近くで空いている救急外来、または小児科のクリニックを受診してください。いわゆる内科や外科というよりも、誤飲(誤って不要なものを飲み込んでしまうこと)の対応に慣れているのは救急医と小児科医です。
「おそらく飲んではいないとは思うけれど不安」「飲んだとしてもごく少量」というような場合には、民間の情報提供サービスもあります。中毒110番(072-727-2499、24時間対応)では、漂白剤を含めた様々な異物の誤飲に対する情報提供を行っていますので、まずこちらで相談するというのも一つの選択肢です。
漂白剤誤飲でお困りの方
先述のように、漂白剤誤飲の場合には救急外来や小児科のクリニックを受診すること、そして中毒110番といったような民間のサービスで情報を集めることが有効です。それと同時に、牛乳を飲んで胃の中にある漂白剤を薄めるのも効果的で、実際に医療機関でもそのような処置を行うことがあります。
逆に、漂白剤を飲み込んだ際の応急処置として避けて欲しいこととして、無理に嘔吐しようとすることがあります。胃に入ったものを出そうとして、のどに指を入れて嘔吐しようとすることがありますが、うまく嘔吐ができないと逆に重症化の原因となるため自己判断で行うべきではありません。嘔吐しかけたものが肺に入ってしまうと肺炎を引き起こし、単なる漂白剤の誤飲(この場合、漂白剤は胃に入っていることになります)よりも重症化してしまいます。
病院を受診する際には、誤って飲み込んだ漂白剤の現物をなるべくお持ちください。成分の詳細や濃度を確認することで、迅速で的確な対応が可能となります。