しょうこつこっせつ
踵骨骨折
踵(かかと)の骨の骨折。原因の多くは転落事故
6人の医師がチェック 110回の改訂 最終更新: 2022.03.18

踵骨骨折の基礎知識

POINT 踵骨骨折とは

踵(かかと)の骨の骨折です。ほとんどのケースで高所からの転落や、階段を踏み外すことにより受傷します。交通事故などで押しつぶされて生じることもまれですがあります。症状としては、転落事故などで踵に強い衝撃を受けた後に、踵の強い痛みや腫れが出現します。診断はレントゲン(X線)検査などの画像検査によって行われます。治療としては、骨折の程度に応じてギプス固定のみとするか、手術を行うかします。実際には手術が行われるケースが多いです。後遺症を残しやすいので、踵が痛くて足がつけないような場合には、踵骨骨折の可能性を考えて、無理をしないで早期に整形外科を受診するようにしてください。

踵骨骨折について

  • かかとの骨(踵骨)が折れた状態
  • 病気のメカニズム
    • 強い力がかかとに加わり、骨が折れる
  • 踵骨骨折の主な原因
    • 高い所から飛び降りる、落ちる(原因の90%以上が転落事故)
    • 交通事故
  • 若年男性に多い
    • 高齢の方は、階段を数段踏み外すだけくらいでも踵骨骨折を起こすことがある

踵骨骨折の症状

  • かかとの痛み
    • けがをした直後から、痛みでかかとに体重がかけられないことが特徴の一つ
  • かかとの腫れ
  • 骨折の程度が強いと、かかとの丸みがなくなり扁平足のようになる

踵骨骨折の検査・診断

  • 画像検査
    • レントゲンX線)検査、CT検査:主に骨折の有無や程度を調べる
    • MRI検査:CT検査でも分からない骨折や、骨と骨を結ぶ靭帯のダメージがないか調べる

踵骨骨折の治療法

  • 主な治療
    • 保存療法:骨を元の位置に戻した後に、ギプス固定を行う
    • 手術
      • 内固定法:プレートを使って骨折部位を固定する
      • 小侵襲内固定術:スクリューなどを使って骨折部位を固定する
    • リハビリテーション
      • 踵を地面につけない時間が長いと、筋力が落ちたり関節が固まったりする
      • そのため、足の筋力の改善、足首の関節の働きを改善する
  • 長期的な経過
    • 骨が元の位置でくっつけば、元の生活やスポーツを行えるようになる
    • 普通に歩けるようになるまで、受傷後数ヶ月はかかることが一般的
    • 重症の場合は、足の変形が起こることがある

踵骨骨折の経過と病院探しのポイント

踵骨骨折が心配な方

踵骨骨折はかかとの骨に起きる骨折で、高いところから飛び降りた際などに生じやすいケガです。このようにかかとに強い衝撃が加わった後から、かかとが痛くて腫れている場合には踵骨骨折の可能性があります。それ以外に似た症状を来たすケガとしては、アキレス腱付着部の障害や肉離れ筋断裂)、そして打撲傷などがあります。ご自身の症状が踵骨骨折だと自己診断するのは必ずしも容易ではありません。実際に医療機関を受診された後は、踵骨骨折の診断は診察とレントゲンで行います。場合によってはCT検査を行うこともあります。

ご自身の症状が踵骨骨折でないかと心配になった際は、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。結果的に骨折ではなく筋肉や靱帯の問題であればクリニックで対応が可能です。もし診断が踵骨骨折で手術が必要となる場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してもらうことになります。

受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることも多いです(日中は救急外来が空いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要であったりします。

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踵骨骨折でお困りの方

踵骨骨折の場合には、ごく軽症のものを除き基本的に手術が行われます。ただし、ご高齢の方や心臓、肺、その他の臓器に持病がある方などで手術を行うリスクが大きい場合などには、自然に骨がつくのを待つこともあります。踵骨骨折は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地は少ないケガかもしれません。

ご高齢の方で入院中に筋力が低下してしまったり、以前のように歩くことが難しくなってしまった場合には長期間のリハビリテーションが必要となります。一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリを行います。

急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフですが、患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところが病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか、1日に受けられるリハビリの総時間、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。

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