しんけいしょうしゅ(しゅわんさいぼうしゅ)
神経鞘腫(シュワン細胞腫)
手足や頭などにできる良性腫瘍。手術や放射線で治療することが多い
8人の医師がチェック
84回の改訂
最終更新: 2017.12.01
神経鞘腫(シュワン細胞腫)の基礎知識
POINT 神経鞘腫(シュワン細胞腫)とは
神経の働きを助けるシュワン細胞という部分が腫瘍化してできる良性腫瘍です。40-50歳代の男女によく見られ、手足や頭頸部・脊髄、皮膚や胸部などにできます。脳にできる聴神経鞘腫が有名です。聴神経鞘腫では耳鳴り、聴力の低下、めまい、ふらつき、顔の神経の麻痺などが見られます。皮膚に出来た場合には押すと痛い腫瘤になる場合が多いです。CT検査やMRI検査で神経鞘腫を疑い、確定診断のためには腫瘍の一部または全部を取ってきて顕微鏡で確認する必要があります。治療は原則的に手術による摘出を行いますが、大きすぎて難しい場合などは放射線治療を行うこともあります。神経鞘腫が心配な方・治療したい方は、脳外科、皮膚科、呼吸器外科など、腫瘍ができた部位に応じた科を受診してください。
神経鞘腫(シュワン細胞腫)について
- 神経から出来る
良性腫瘍 腫瘍 が神経や脳を圧迫すると、症状が現れる- 手足や頭に出来ることが多いが、胸部や
脊髄 にも出来る - 比較的患者数の多い良性腫瘍であり、40-50歳代の男女に出来やすい
- 神経線維腫症2型(国の指定難病)では多発腫瘍になることがあるが、通常は単発性
- 神経の働きを助けるシュワン細胞という細胞が腫瘍化する
前庭 神経(聴神経の一部)、肋間神経、手足の末梢神経などが腫瘍化が起きやすい
- 極めて稀に悪性の神経鞘腫が出来ることもある
- 悪性の場合には
遠隔転移 や周囲臓器への浸潤が見られる - 神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)で悪性神経鞘腫が起こることが稀にある
- 悪性の場合には
神経鞘腫(シュワン細胞腫)の症状
- 症状は、
腫瘍 ができた神経の部位による- 聴神経鞘腫では耳鳴り、聴力の低下、めまい、ふらつき、顔の神経の
麻痺 など - 皮膚の場合には腫瘍の圧通など
- 聴神経鞘腫では耳鳴り、聴力の低下、めまい、ふらつき、顔の神経の
神経鞘腫(シュワン細胞腫)の検査・診断
- 画像検査:
腫瘍 の位置や大きさなどを調べるCT 検査MRI 検査脊髄 や神経の状態を調べるのに有用
- 病理検査:顕微鏡で腫瘍を確認して確定診断をつける
- 腫瘍細胞が密集しているアントニー(Antoni)A型と、スカスカのアントニーB型がある
- 1つの腫瘍の中にもアントニーA型とB型が混在している
神経鞘腫(シュワン細胞腫)の治療法
良性腫瘍 なので、そのまま様子をみることもある良性 なので、基本的に他の部位に転移 はしない- 症状が強ければ、あるいは大きくなる心配があれば、手術や
放射線治療 が検討される - 最近は放射線治療の技術が進歩してきている
- 手術:
腫瘍 摘出術- 腫瘍を全て取り除くことができれば再発することはないが、一部でも残っていると再発してしまう
- 神経にできる腫瘍なので、手術で神経を傷つけやすく、それによって
合併症 が残ることがある
- 放射線治療
- 放射線を腫瘍に当てて、腫瘍の細胞を殺す
- 手術よりも身体の負担が少ない
- 放射線によって正常な神経細胞を傷つけてしまうことがある