Beta 椎間板ヘルニアのQ&A
腰痛体操:マッケンジー法(腰を反る方向へ動かす運動方法)
- うつ伏せの状態から腕を立て腰を反らせる
股関節周りのストレッチ
- ハムストリングス(もも裏)を伸ばす
- 腸腰筋(脚の付け根の前側)を伸ばす
腹筋、背筋の筋力トレーニング
温熱療法:温めることで、血液循環を良くして腰の筋肉をほぐす
- 病院でホットパックや電気を当てて温める
- 自宅で、腰に温タオルを当てたり、お風呂で温めるのも良い
骨盤牽引:背骨周りの筋肉を伸ばし、血液循環を良くする
- 病院で機械を使って腰を引っ張る
しゃがむとき、膝を伸ばしたまま腰を曲げる動作を避ける
- 腰を曲げずに、股関節・膝関節を曲げてしゃがむ
背中の丸い姿勢で長時間座らない
- 背筋を伸ばして座り、こまめに動くようにする
重いものを持つとき、膝を伸ばしたまま持ち上げない
- 重いものを持つときには腰を曲げずに、股関節・膝関節をしっかり曲げて行う
手術後のリハビリではどんなことを行いますか?
椎間板ヘルニアでは、腰痛や脚のしびれや痛みが起こります。保存療法によっておよそ3ヶ月以内くらいで良くなることが多いですが、耐え難い痛みが続く場合や、尿や便の排泄に問題が出た場合は手術が必要となることが多いです。また手術後に限らず、再発防止のためには日常生活で腰に負担をかけないようにすることが大切です。
手術後のリハビリテーションについて解説します。
基本的には手術後にコルセットをつけ、大抵の場合、数日で歩くことができます。 腰に負担をかけない範囲で、腹筋、背筋の強化、脚のストレッチ(特に太ももの裏からふくらはぎにかけて)を行います。高齢者の場合、特に術後早期から座る練習や歩行練習を行うことで廃用(手術や入院による筋力低下などの機能低下)を防ぐ必要があります。
また、日常生活で腰に負担をかけない(腰を無理に曲げない、重いものを持たないなど)ことも大切です。
痛みがあれば鎮痛薬などを積極的に使用することが多いです。痛みが重度だと活動性が落ちたり抑うつ症状などの精神的な落ち込みが現れやすいので注意しましょう。
保存療法のリハビリについて教えてください
保存療法のリハビリテーションには運動療法と物理療法があります。以下に具体例を交えてご紹介します。
◎運動療法
基本的には、全身の体操と腰椎を安定させるための筋力トレーニング、筋肉をほぐして動きを良くするためのストレッチなどを行います
◎物理療法
温熱療法と牽引療法を行います。
リハビリテーションは医師や理学療法士など専門家の指示に従って行うようにして下さい。リハビリテーションの最中に、痛みやしびれが強くなった場合は、すぐに中止するようにしましょう。
日常生活の動作で気をつけることを教えてください
腰を前にかがめると(前屈)椎間板の前側がつぶされ、中身が後ろ側にはみ出して、脊髄を圧迫してしまう姿勢となり、痛みが増強しやすくなります。また、重いものを持ったり、座る姿勢でも椎間板がつぶされる力が強くなるので痛みが増強しやすくなります。動作時には、椎間板への負担が少ない方法で行うようにしましょう。
椎間板ヘルニアの症状を悪化させないためにも日常生活上の動作に気をつけてみて下さい。
椎間板ヘルニアの原因、メカニズムについて教えて下さい。
椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割をしているものです。背骨は、脊椎という骨が何個も積み重なってできており、脊椎の後ろには脊髄という神経が通っています。椎間板ヘルニアは、椎間板の中身が飛び出してしまった状態で、飛び出した椎間板が脊髄を圧迫することで腰痛や脚のしびれがみられます。原因は、加齢などによって椎間板が変性することによって起こります。また、悪い姿勢での作業や喫煙によっても起こりやすいといわれています。
椎間板ヘルニアは、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?
女性よりも男性の方がなりやすく、男女比は3.3:1という報告があります。椎間板ヘルニアで手術をした患者さんを調べた結果、患者さんの年齢は、10代 9.8%,20代 37.9%,30代 27.5%,40代 17.0%,50代 6.0%,60代 1.8%という報告があり、20代が最も多い結果となっている見解もあります。
椎間板ヘルニアが発症しやすくなる病気はありますか?
椎間板ヘルニアになりやすい病気は、明確にはわかっていませんが、椎間板ヘルニアになりやすい職業については、報告されています。椎間板ヘルニアのなりやすさを職業別に検討した研究では、事務職などに比べ、重労働者の職業の方が、発症しやすいとされています。また、車の運転も椎間板ヘルニアの発生原因となるという報告もあります。
椎間板ヘルニアは、どんな症状で発症するのですか?
通常は、腰痛やいわゆる「ぎっくり腰」のような腰の痛みがみられます。腰やおしりに痛みが出たり、足にしびれや痛みが走ったりします。激しい痛みが数日続き、満足に動けない場合が多いです。また、痛みにより背骨が横に曲がったりする場合もあります。
椎間板ヘルニアが重症化すると、どのような症状が起こりますか?
椎間板ヘルニアが重症化すると、その部分を通る神経を強く圧迫してしまいます。そのため、足に力が入りにくくなり、歩くことが難しくなったり、尿や便を出したり我慢したりする調節ができなくなる場合もあります。
椎間板ヘルニアは、どのように診断するのですか?
下肢伸展挙上試験といって、寝た状態で膝を伸ばしたまま足を挙げる試験を行い、おしりや足にしびれがでるか診ます。また、足の力が弱くなっていないか、感覚が鈍くなっていないかを診ます。さらに、MRI検査やCT検査で、椎間板が飛び出ているかを見て診断します。
椎間板ヘルニアの治療法について教えて下さい。
治療の基本は、安静にすることです。サポーターなどを装着することもあります。痛み止めの内服や座薬を使って、痛みを和らげます。痛みがひどい場合には神経ブロックという痛み止めの注射などを使います。症状がひどい場合には、手術をする必要があります。
椎間板ヘルニアでは入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?
手術をする場合には、入院が必要です。一般的には、手術後翌日には、コルセットを装着して、ベッドから起き、少しずつ歩く練習をはじめます。術後1週間ほどで抜糸し、術後10日-14日で退院します。その後2-3週間に一度通院して頂き、術部や症状のチェックを行います。必要であれば、通院しながらリハビリを行います。簡単な仕事であれば、術後1か月後ころから開始します。
椎間板ヘルニアは、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?
手術により完治する場合もありますが、長い間、神経が圧迫されていたりすると、足のしびれが残ったり、足の麻痺や、感覚の鈍さが残ったりする場合もあります。また、悪い姿勢での作業や重労働などによって、再発する可能性もあります。
椎間板ヘルニアの手術にはどんな種類があるのですか?
症状がひどく、改善しない場合は手術を選択します。手術は大きく二つの種類があります。ひとつは、経皮的髄核摘出術という、内視鏡を使って行う手術があります。内視鏡を使って行うため、体への負担が少ないという特徴があります。もうひとつは、ヘルニア切除術といって、背骨の一部を切ってはみ出た椎間板を取り除く手術があります。手術を行うか、またどの手術の方法を選択するかは、症状などと照らし合わせて、主治医とよく相談しましょう。