のうけっかんせいにんちしょう
脳血管性認知症
脳卒中など脳血管の変化によって脳がダメージを受けることで起こる認知症。認知症の原因として2番目に多い
13人の医師がチェック 124回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 脳血管性認知症のQ&A

    脳血管性認知症とはどのような病気ですか?

    脳血管障害(脳卒中のこと)による認知症、とざっくりとらえていただければよいでしょう。脳血管障害で脳のどの部位が障害されるかにより、多彩な症状が見られます。

    脳血管性認知症はどのような症状で発症するのですか?

    認知症の症状についてはこちらのQ&Aもご参照いただければと思います。代わりに、ほかの認知症にはないこの病気の特徴的な症状について説明しておきます。

    脳血管性認知症では、脳血管障害があるわけですからその障害部位に対応した症状(麻痺や感覚障害など)があらわれます。これに加え、発症早期から姿勢や歩行が不安定になり、転びやすくなってしまいます。また、尿失禁が多いこともこの病気の特徴でしょう。そのほか、しゃべりづらさや飲み込みづらさ、性格の変化があらわれることもあります。記憶障害が最初から目立つことは少ない印象を受けています。

    脳血管性認知症は、どのように診断するのですか?

    他の認知症と同じですが、その段階での患者さんの症状を本人・家族からよく聞いて、認知機能の低下のために困っていることはないかを確かめることが重要です。また、脳血管障害にそれまでなったことがあるか、なっていた場合にはどこの部位に脳血管障害が起きてどのような後遺症があるかを尋ねます。もちろん診察では一般的な神経学的診察を行い、麻痺や感覚障害、しゃべりづらさや飲み込みづらさ、視野の障害が無いかを詳細に確認します。

    また、画像でも頭部CT/MRI検査でこれまでの脳出血や脳梗塞について評価することが重要となります。

    脳血管性認知症の治療法について教えて下さい。

    基本的には、アルツハイマー病と同じような薬が使われることが多いでしょう。ドネペジルやメマンチンといった薬が用いられます。

    それに加え、脳血管性認知症では脳の循環を良くすると言われている薬(ニセルゴリンなど)を一緒に使うことも多いです。これらの薬剤は科学的に効果が証明されているというわけでは必ずしもなく、経験的に使われています。

    脳血管性認知症は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    脳血管性認知症が、すべての認知症に占める割合は、欧米では約20%である一方で、国内の過去のデータでは50%ほどと、かなり多くの割合を占めるのではないかと言われています。ただし、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症が合併しているケースが多いことが最近わかってきており、単純に何%と決めることは難しい側面もあります。

    脳血管性認知症では記憶障害は目立たないのですか?

    アルツハイマー病など多くの認知症では記憶障害が中心となる症状ですが、脳血管性認知症ではこれらの症状が目立つとは限りません。従って、認知症の診断基準に引っかからないこともあります。というのも、認知症の診断基準はアルツハイマー病を念頭に置いて作られているからです。診断のためには医師の総合的な判断が重要になります。

    脳血管性認知症の、その他の検査について教えて下さい。

    他の認知症一般と同じように、脳血流SPECTやVSRADなどで詳細な画像評価を行うことがありますが、必須の検査ではありません。

    脳血管性認知症に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    脳血管性認知症になりやすい危険因子としては、加齢、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが挙げられます。高血圧や脂質異常症、糖尿病などがある場合は、生活習慣に気をつけ、かつ適切な治療を受けるように心がけましょう。

    適度な運動を続けることは認知症を防ぐ意味でも生活習慣病を防ぐ意味でも非常に重要な意味を持ちます。運動習慣はぜひつけて頂けるようにすると良いでしょう。

    脳血管性認知症と診断が紛らわしい病気はありますか?

    これまでは、頭部CT/MRIで明らかに脳出血や脳梗塞の既往があり、認知機能の低下がみられるのであれば、脳血管性認知症と診断されてきました。ですが、病理学的な研究が進むにつれ、脳血管認知症とアルツハイマー型認知症は合併しやすい病気であることがわかってきました。要するに、脳卒中の既往がある人で認知機能が低下してきた場合、脳血管性認知症があったとしても認知機能の低下がそれだけでは説明できないことがあり、そのような場合にはアルツハイマー病が合併している可能性も考慮しなければならないということです。