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予測が外れても有効、2015-2016年のインフルエンザワクチン
イギリスの統計から

from Euro surveillance : bulletin Europeen sur les maladies transmissibles = European communicable disease bulletin


予測が外れても有効、2015-2016年のインフルエンザワクチンの写真

写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。 (C) ryupon - Fotolia.com


今年のインフルエンザは10月から早くも学級閉鎖が出るなどで話題になっています。予防接種はまだ間に合います。去年のイギリスの統計から、流行を予測したワクチンの型が合っていなくても予防効果があったことが報告されました。

イギリスの政府機関であるイングランド公衆衛生庁などの研究班が、2015年から2016年にかけての一冬(以下「2015/16年」)のインフルエンザ予防接種についての統計を、専門誌『Eurosurveillance』に報告しました。

 

イギリスでは、2015/16年に流行したインフルエンザの型は主にA(H1N1)pdm09(A型インフルエンザの一種)とBビクトリア系統(B型インフルエンザの一種)の2種類でした。この年に、イギリスでインフルエンザ予防接種に使われた注射は、Bビクトリア系統に対応していないものでした。つまり、予測が外れ、注射したワクチンが対応していない型のウイルスが流行してしまいました

 

研究班は、インフルエンザのような症状で医師の診察を受けた人の検査データを集計しました。遺伝子検査(リアルタイムPCR法)でインフルエンザかどうかを診断し、ワクチンによってインフルエンザが予防された割合(予防率)を計算しました。

次の結果が得られました。

全体の期末調整ワクチン有効率は、インフルエンザが確認されたプライマリケア受診に対して52.4%(95%信頼区間41.0-61.6)、インフルエンザA(H1N1)pdm09に対して54.5%(95%信頼区間41.6-64.5)、インフルエンザB型に対して54.2%(95%信頼区間33.1-68.6)だった。

全体として、ワクチンの有効率は52.4%でした。ウイルスの型ごとに計算すると、A(H1N1)pdm09に対しては54.5%で、インフルエンザB型に対しては、型の不一致があったにもかかわらず、54.2%の有効率でした

 

インフルエンザは毎年違った型が流行します。ワクチンはその年に流行するウイルスの型を予測して作られますが、予測が外れることもあります。ワクチンとウイルスの型が一致しないときは、予防効果が低くなります。

しかし、この研究でも報告されているとおり、型が一致しなくても予防効果がまったくないわけではありません。

2016年の日本では、10月から学級閉鎖が一部の学校で行われるなど、すでにインフルエンザの流行が話題になっています。ワクチンを打ってから免疫がつくまでに数週間かかるのですが、流行が始まってから打ってもある程度の効果は期待できます。

まだ今年のインフルエンザワクチンを打っていない方は、今からでもぜひ検討してください。

◆参照文献

Effectiveness of seasonal influenza vaccine for adults and children in preventing laboratory-confirmedinfluenza in primary care in the United Kingdom: 2015/16 end-of-season results.

Euro Surveill. 2016 Sep 22.

[PMID: 27684603 ]

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