◆98件の研究データから計算
ここで紹介する研究は、過去に報告された研究データを集めて、子供を対象にA群溶連菌の迅速テスト(RADT)を使ったとき、実際にA群溶連菌の感染を正しく見分けられた割合を計算しています。
2015年7月までの研究報告を検索した結果、基準を満たす98件の研究が見つかりました。
◆感染していたら85.6%が陽性
次の結果が得られました。
すべての参加者がRADTと咽頭培養の両方の検査を受けた研究では(試験評価105種、参加者58,244人、参加者中のA群溶連菌有病率の中央値29.5%)、RADTは要約感度85.6%(95%信頼区間83.3-87.6)、要約特異度95.4%(95%信頼区間94.5-96.2)だった。
実際にA群溶連菌に感染していた子供のうち85.6%で迅速テストが陽性になり、A群溶連菌に感染していなかった子供では95.4%で迅速テストが陰性でした。
研究班は解析の結果を「A群溶連菌の感染率が30%である1000人の子供の集団のうち、A群溶連菌に感染している43人の患者が見逃されるだろう」と表現しています。
迅速テストは診断の参考になりますが、絶対ではありません。治療方法を決めるには症状など検査以外の情報も大切なので、迅速テストをされなかったからといって「ちゃんと調べてもらえなかった」と思う必要はありません。
執筆者
Rapid antigen detection test for group A streptococcus in children with pharyngitis.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jul 4.
[PMID: 27374000]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。