2016.02.09 | ニュース

下痢が続く難病「クローン病」、食物繊維は本当に有害か?

1,130人の食事調査から

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

下痢が続く難病「クローン病」、食物繊維は本当に有害か?の写真

クローン病は口から肛門までの消化管に炎症が起きる病気で、腹痛や下痢の症状があります。炎症の程度によっては食べることもできなくなります。食事の内容には制限が必要なのでしょうか。食物繊維について検証が行われました。

◆食物繊維を制限すると再燃は減るか?

クローン病の治療は難しく、炎症を抑える薬などが使われますが、長期間にわたって再燃を繰り返したり、手術が必要になることが多いです。

クローン病の治療中は、食物繊維が多い食事は腸を刺激するので避けるべきという説があります。この研究は、実際に食物繊維を制限した食事でクローン病の状態に改善があるかどうかを調べました。

クローン病の患者1,130人の食事と経過のデータを使って、調査開始から6か月後までに再燃が起こる頻度を統計解析しました。

 

◆再燃はむしろ増えている

次の結果が得られました。

クローン病の患者で、食物繊維が多い食べ物を避けなかったと答えた人は、食物繊維が多い食べ物を避けた人に比べて疾患再燃がおよそ40%少なかった(調整オッズ比0.59、95%信頼区間0.43-0.81)。

食物繊維を制限した人は、制限しなかった人よりも再燃が多く見られました

研究班は「食物繊維を制限する勧めは再評価されるべきである」と結論しています。

 

クローン病の原因には免疫の異常が関わっていると言われていますが、正確には不明です。食事との関係についても解明が待たれています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Avoidance of Fiber Is Associated With Greater Risk of Crohn's Disease Flare in a 6-Month Period.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Dec 31. [Epub ahead of print]

[PMID: 26748217]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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