◆クランベリーエキスによる腸内フローラの変化を調べた
著者らは以下の方法で、2型糖尿病におけるクランベリーエキスの効果を調べました。
C57BL/6Jマウスに通常食または高脂肪/高スクロース食を与えた。高脂肪/高スクロース食群には水あるいは200mg/kgのクランベリーエキスを8週間強制経口投与した。腸内細菌の組成は16S rRNAのパイロシーケンス法で454種解析した。
つまり通常食と水を与えたマウス、脂肪・糖分が多い高脂肪/高スクロース食と水、高脂肪/高スクロース食とクランベリーエキスを与えたマウスの3群を比較しました。そして高脂肪/高スクロース食とクランベリーエキスを与えたマウス群で増加する腸内細菌を調べています。
◆クランベリーエキスはアッケルマンシアを増加させて2型糖尿病を改善する
著者らは以下の結果を得ました。
クランベリーエキスを与えたマウスは高脂肪/高スクロース食依存的な体重増加効果や内臓脂肪型肥満の低下が見られた。
また腸内中性脂肪を低下させ、腸内炎症と酸化ストレスを和らげた。
興味深いことに、クランベリーエキスはメタゲノムサンプルにおいてムチン分解細菌であるアッケルマンシア属の割合を増加させた。
この結果から著者らは、「クランベリーエキスは高脂肪/高スクロース食によって引き起こされるメタボリックシンドロームの徴候の改善によって代謝に有益な効果をもたらし、それは腸内細菌であるアッケルマンシア属菌種の増加と関連している」と述べています。
ポリフェノールはメタボ改善に効くと言われていますが、脂肪への直接効果に加え、このような腸内細菌への影響を与えているという著者らの考えが示されています。アッケルマンシア属を選択的に増やしたり減らした時の効果はまだ見ていないので、今後実験が必要とは思いますが、興味深い結果です。
執筆者
A polyphenol-rich cranberry extract protects from diet-induced obesity, insulin resistance and intestinal inflammation in association with increased Akkermansia spp. population in the gut microbiota of mice.
Gut. 2015 Jun
[PMID: 25080446] http://gut.bmj.com/content/64/6/872※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。