◆ まずはよく冷やす
例えば、指先に熱湯がかかったとします。第一にすべきは、冷やすことです。蛇口の水で十分です。氷水だと冷たすぎて逆効果の場合があります。
冷やす時間については、従来から議論が分かれているところです。数分間で良いとする意見もあれば、30分間冷やすべきとする見解もあります。
誤解を恐れずに言ってしまうと、数分間でも30分でも、治療効果に大差はないと考えられます。やけどの冷却時間について、専門家が何十年にも渡って研究を続けても答えが出ないということは、(厳密な意味でどちらが優れているかはさておき、)冷やすことがまずは大事なのであって、どれだけ長時間冷やすかによって治療効果に大きな差はないと言って良いのではないでしょうか。
やけどの熱を取るだけでなく、冷やすことで炎症を抑えるといった意味合いもありますので、数秒間など極端に短い冷却では足りないと言えるでしょう。数分以上冷やして、「これ以上冷やしても痛みが変わらない」と感じられた時点でやめるのが妥当かもしれません。
◆ 水ぶくれは?
水ぶくれができた場合には、なるべくつぶさないまま治すのが基本です。水ぶくれ内部の液体には、皮膚が再生するために必要な成分が濃密にふくまれています。皮膚の再生に必要だからこそ、体が液体を出しているのです。
膨らんでいた部分に穴が空くと、そこから菌が入りますので、可能な限り膜はつぶさずに残しておくのが良いでしょう。それでもつぶれてしまった場合には、1日2-3回流水で洗い、清潔に保つようにします。
◆ アロエは?
アロエを貼る・塗ることについても賛否両論がありますが、効果はたとえあったとしても小さく、場合によっては傷を悪化させると考えられています。アロエ中に優れた薬効成分があるのならば、すでに薬として応用されていると思われますし、アロエの保水効果に期待するのであれば、より保水効果の高い軟膏を塗った方が効果的と言えます。
市販の軟膏が入手困難だった時代や、またやけど自体がごく軽いものであるという限られた状況下では、有効なケースもあるのかもしれません。しかし感染予防の観点からは、少なくとも水ぶくれがやぶれたやけどに、生のアロエを塗るようなことは避けるべきでしょう。
◆ 病院受診の目安は?
肘から手首までなど、範囲が広い場合には自宅での処置が難しいため、受診の一つの目安と考えて良いと思います。また、衣服の上から熱湯や高温の油がかかったようなケースでは、熱源と皮膚が接している時間が長くなりますので重症になりやすく、この場合にも受診をお勧めします。
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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。