2019.05.15 | コラム

禁煙外来に通えば「いったんは」禁煙できる!!

禁煙成功にはしっかり5回受診するのが大事

禁煙外来に通えば「いったんは」禁煙できる!!の写真

タバコをやめたいと考えている人は多いと思います。「令和こそは禁煙を!」と決心している人もいるかもしれません。しかし、一度禁煙しようと決心してそのままずっと禁煙を続けられるのは10人に1人ほどと言われています。そこで、助けとなってくれるのが禁煙外来です。このコラムでは禁煙外来の効果はどのくらいか、どんなことをするのか、費用はどれくらいかかるのか、などを紹介します。

1. 禁煙外来に行けば確実にタバコをやめられる?

禁煙外来では原則として3ヵ月間で合計5回の通院を行い、禁煙補助薬を使うなどして禁煙を目指します。しかし、あくまで薬は「補助」であり、禁煙の意思が最も大事です。

さまざまなデータがありますが、禁煙外来を受診した人のうち禁煙に成功する人の割合は、3ヵ月間で65-90%前後です。ただし、1年後にも禁煙を維持できているのは20-35%前後と言われています。多くの人がいったんは禁煙に成功するものの、外来通院が終わったらまた吸い始めてしまうのです。

せっかく禁煙外来に通っても、長期的には禁煙できないことが多いから意味がないかというと、そうではありません。薬の補助なしで1年後も禁煙を続けられる人は10-15%ほどしかいないというデータがあり、禁煙外来でキッチリと治療をすれば1年後の禁煙成功率は高くなり、さらには年単位の長期的な禁煙成功率も高まると考えられています。

 

2. 禁煙外来ではどんなことをしている?

禁煙外来では3ヵ月間(12週間)で5回の通院をし、お医者さんや看護師さんからアドバイスをもらいつつ、禁煙補助薬を受け取ります。外来で処方される禁煙補助薬には飲み薬または貼り薬があります。(使う薬の詳細に関してはこちらのコラムを参照してください。)飲み薬と貼り薬それぞれに長所短所がありますが、近年は飲み薬が主流となっています。また、禁煙外来では吐く息の中の一酸化炭素(タバコの煙の成分)濃度を測定して、ちゃんと禁煙の成果が現れているか確認する検査もあります。

通院は次のようなスケジュールとなります。

 

【禁煙外来のスケジュール】

  • 初回:通院開始日
  • 2回目:2週後
  • 3回目:4週後
  • 4回目:8週後
  • 5回目:12週後

 

基本的には12週で禁煙外来は卒業になりますが、希望する場合には自費診療(健康保険が効かない)で24週まで延長も可能です。5回目までしっかり通院できた場合は、半分近くの人が1年後も禁煙を維持できているというデータがあるので、通院が大変でも、禁煙がうまくいっているのでもう大丈夫と思っても、5回目までちゃんと通いきることをお勧めします。

 

3. 禁煙外来の費用はどれくらい?

使用する薬が飲み薬か貼り薬かによって異なりますが、近年の主流である飲み薬では5回の通院と薬の費用で総額6万円強になります。高額だと思う人が多いでしょうが、健康保険が適用になれば、3割負担では2万円ほどの自己負担で済みます。外来通院期間の3ヵ月間で2万円の負担ならば、日々のタバコ代のほうが高くつくという人も多いのではないでしょうか。毎日10本の紙巻きたばこを吸う人で、タバコ代と3ヶ月間の医療費が同じくらいになる計算です。

 

健康保険で禁煙外来を受診できる人とは?

下記の条件を全て満たしていれば、健康保険を使って禁煙外来での治療を受けることができます。

 

  • すぐに禁煙しようと考えている
  • 禁煙治療を受けることに文書で同意している
  • 35歳以上の人は、1日の喫煙本数×年数が200以上である(34歳以下では制限なし)
  • ニコチン依存症と診断される(質問票で5/10点以上)

*ニコチン依存症の有無は簡単な問診票で判断されます。詳細はこちらをご覧ください。
*過去1年以内に保険適用で禁煙外来をスタートして禁煙に失敗し、再チャレンジする場合には保険適用となりません。1年以上空いていれば問題ありません。

 

タバコを毎日吸う人であれば、多くはニコチン依存症と診断されるので、禁煙する意思さえあれば保険適用で受診できるハードルはあまり高くありません。

 

ここまで簡単に禁煙外来の紹介をしてきました。禁煙外来はどこの医療機関でも設置しているというわけではないので、実際の受診にあたってはホームページを参照したり、電話で確認するようにしてください。(こちらから近くの禁煙外来を探すこともできます。)自分や家族の健康のため、経済的な問題で、など理由は人それぞれでしょうが、令和元年を禁煙元年にしてみませんか?

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る