2018.02.02 | ニュース

腹部手術の前に呼吸訓練の指導30分で術後の合併症を予防

441人の手術後の経過で検証
from BMJ (Clinical research ed.)
腹部手術の前に呼吸訓練の指導30分で術後の合併症を予防の写真
(c) monkeybusinessimages - iStock

腹部の手術のあとで肺炎などの合併症が現れることがあります。合併症を防ぎ回復を促すなどの目的で、呼吸訓練を行うことがあります。呼吸訓練の指導の効果を確かめる研究が行われました。

腹部手術の前の呼吸訓練指導の効果

オーストラリアとニュージーランドの研究班が、腹部手術の前の呼吸訓練の指導(術前理学療法)によって術後の肺炎などの合併症を防げるかどうかを試し、医学誌『BMJ』に報告しました。

この研究以前から呼吸訓練指導の効果を示唆した報告はありますが、より確かなデータを得るために新しく研究が計画されました。

対象者は、上腹部の開腹手術のため入院する予定の人から一定の条件で選ばれました。歩けない人などは対象外とされました。441人が対象となり、手術の前の呼吸訓練の指導を行うグループと行わないグループに分けられました。

指導を行わないグループの人は、説明の冊子を渡されました。冊子には術後にできるだけ早く動くことや呼吸訓練の方法(深呼吸や咳払い)の説明が載っていました。

指導を行うグループの人は、冊子を渡されたうえ、30分のセッションによって、さらに詳しい説明(術後呼吸器合併症の可能性、麻酔の影響、手術後1-2日は歩けないことが多いがその間も自分で呼吸訓練をするといいことなど)を受けるとともに、呼吸訓練のコーチを受けました。

効果判定のため、術後14日以内の入院中の術後呼吸器合併症が記録され比較されました。術後呼吸器合併症の診断には、聴診器で聞こえる呼吸音やX線写真の異常などに基づいた一定の基準が使われました。

 

術後呼吸器合併症が減少

手術後に次の結果が得られました。

院内肺炎を含め、術後14日以内の術後呼吸器合併症の発生率は、対照群に比べて介入群で半減し(調整ハザード比0.48、95%信頼区間0.30-0.75、P=0.001)、絶対リスク減少量は15%(95%信頼区間7%-22%)、NNTは7(95%信頼区間5-14)だった。

術後呼吸器合併症が起こった割合は、指導を行ったグループでは12%(218人中27人)、行わなかったグループでは27%(214人中58人)であり、対象者のうち15%の割合で、呼吸訓練の指導により術後呼吸器合併症が防がれたと計算されました。

術後に肺炎が起こった人は指導を行ったグループのうち8%(18人)、指導を行わなかったグループのうち20%(42人)でした。

入院日数や6週間以内の再入院には統計的に差が見つかりませんでした。

呼吸訓練によると思われる事故などは見つかりませんでした。

 

呼吸訓練を覚えて術後の助けに

腹部手術の前に、呼吸訓練について30分の指導を受けることで、術後呼吸器合併症を減らす効果があったとする報告を紹介しました。

手術のあとの回復を促すために、手術の種類や体の状態などにもよりますが、安全な範囲で体を動かすことなどが一般的に勧められます。主治医などの説明をよく聞いて、自分でできることに努めてください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Preoperative physiotherapy for the prevention of respiratory complications after upper abdominal surgery: pragmatic, double blinded, multicentre randomised controlled trial.

BMJ. 2018 Jan 24.

[PMID: 29367198]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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