血管迷走神経反射はどんな人に多いのか
岡山大学病院などの研究班が、血管迷走神経反射を起こした人の特徴を統計解析により検討し、結果を専門誌『International Journal of Hematology』に報告しました。
この研究は、岡山大学病院で2007年から2015年に手術前の貯血を行った人のデータを解析したものです。貯血とは、出血が予想される手術の前にあらかじめ自分の血液を取り出し保存しておくことです。手術で輸血が必要になる場合に、貯血を使って自己血輸血ができます。
4,192人の記録が解析の対象となりました。貯血の際に血管迷走神経反射が起こった人の特徴が検討されました。
血圧、心拍数、はじめて
血管迷走神経反射が起こった人は2.08%(87人)でした。血管迷走神経反射は10歳から13歳で最も多く発生していました。
ほかに女性、体重が軽い、全身の血液量が少ないなどの要因で多い関係が見られました。ただしこれらの要因は互いに関連しあっています。統計解析(多変量解析)により、ほかの要因で説明できないものに絞り込んだ結果、以下の要因が残りました。
- はじめて貯血した
- 心拍数が多い
- 収縮期血圧(上の血圧)が低い
血管迷走神経反射になったらどうする?
血管迷走神経反射が起こりやすい人の研究を紹介しました。
一般に、血管迷走神経反射は誰に起こってもおかしくありません。失神の原因として多いことも知られています。血管迷走神経反射を引き起こすものは採血のほかに空腹や痛みなどもあります。
血管迷走神経反射はほとんどの場合、横になって休めば自然に治ります。失神して転倒することにはできるだけ注意するべきと考えられます。たとえば、献血後に血管迷走神経反射が起こる人がいるので、水分を補給してしばらく休憩し、気分が悪くなったらしゃがんで転ばないようにするなどが勧められています。
もともと血圧が低い人などでは特に、急に気分が悪くなっても大事に至らないよう気を付けることができるでしょう。
執筆者
Predictors of vasovagal reactions during preoperative autologous blood donation: a single-institution analysis.
Int J Hematol. 2017 Jun.
[PMID: 28271415]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。