2017.03.08 | ニュース

眼瞼角結膜炎に目薬は効かない?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

眼瞼角結膜炎に目薬は効かない?の写真

眼瞼角結膜炎は、目の炎症により目やに・まぶしさ・異物感などを起こす目の病気です。原因は正確にわかっていません。治療に使われる目薬の効果が検証されているかが調査されました。

イギリスの研究班が、眼瞼まぶたのこと。眼球の上下にある皮膚の部分を指し、それぞれを上眼瞼、下眼瞼と呼ぶ結膜炎の局所治療について、これまでの研究で示されている効果の調査を行いました。

局所治療とは、異常がある部分にだけ手を加える治療のことです。薬を飲んだり注射したりする全身治療に対して、目薬などは局所治療と呼びます。

研究班は研究データベースを検索して、報告されている研究データを集めました。

 

調査の結果、採用基準を満たした研究は1件だけでした。見つかった研究では0歳から6歳の眼瞼角結膜炎患児が対象となり、4種類のグループに分けられていました。

  • エタボン酸ロテプレドノールとトブラマイシンを使うグループ
  • エタボン酸ロテプレドノールだけを使うグループ
  • トブラマイシンだけを使うグループ
  • 偽薬を使うグループ

ロテプレドノールは炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑える作用があるステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているです。トブラマイシンは抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないです。どちらも点眼薬目薬のこととして使います。

この研究では、どのグループでも症状の改善の度合いに大きな差が見られませんでした

治療中に副作用の可能性がある目の症状などが以下のように現れました。

  • ロテプレドノールとトブラマイシンのグループ:目の痛み(34人中1人)
  • ロテプレドノールのみのグループ:目の痛み、結膜炎、目やに、目の炎症(35人中それぞれ1人)
  • トブラマイシンのみのグループ(34人):該当者なし
  • 偽薬のグループ(34人):該当者なし

研究班は、この1件の研究の確実性は非常に低いと判定しました。結論としては、「眼瞼角結膜炎に対して局所治療の安全性と有効性を示した質の高い証拠は存在しない」と述べています。

 

眼瞼角結膜炎に対して目薬の効果が確かめられていなかったという報告を紹介しました。

「確かめられない」という結果は一見調査失敗のように見えるかもしれませんが、「このままでは目薬を広く推奨することができない」とわかったとも言えます。もちろんステロイド薬も抗菌薬もほかの目の病気には有効な例がありますが、眼瞼角結膜炎に適していると言える根拠はないことになります。

病気の治療には利益がはっきりしているものもありますが、研究者の間で賛否が分かれるものもあります。否定的な立場からは、「効果がないことの証明」は論理的に不可能なので、このように一定のルールに沿って体系的に調べても確かめられなかったという事実が重要な根拠になります。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Topical treatments for blepharokeratoconjunctivitis in children.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Feb 7. [Epub ahead of print]

[PMID: 28170093]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]