院内リハビリで再入院半減、肝移植後の3,072人を調査

大きな手術のあとの回復にはリハビリが大切です。肝臓移植のあとの患者の調査から、手術後にどの施設に移ったかで比較すると、院内のリハビリ設備に移った人で30日以内の再入院が少なかったことが報告されました。
肝移植後のリハビリと再入院の関係
アメリカのロヨラ大学の研究班が、肝臓移植の手術後に再入院となるリスクについての研究結果を、外科専門誌『Journal of the American College of Surgeons』に報告しました。
研究班は、フロリダ州とカリフォルニア州の統計データを解析することで、手術後に移った施設によって再入院の頻度に違いがあるかを調べました。3,072人のデータを対象として、30日以内の再入院の頻度を比較しました。
院内リハビリで再入院半減
解析から次の結果が得られました。
全体で30日再入院率は29.6%だった。自宅への退院に比べて、30日再入院率のオッズ低下と、入院患者リハビリテーション設備への退院(調整オッズ比0.43、P=0.013)または長期的急性治療/特別看護設備への退院(調整オッズ比0.63、P=0.014)が関連した。
対象者のうち29.6%が30日以内に再入院していました。自宅に退院した人に比べると、院内リハビリ設備に移った人で、30日以内の再入院がおよそ0.4倍ほどに少なくなっていました。
手術後のリハビリは大切!
肝臓移植手術後に移った施設によってその後の経過に大きな違いがありました。アメリカの病院は日本に比べると入院期間を短くする傾向にありますが、そのうえでリハビリの専門家からケアを受けられることが回復のカギになるのかもしれません。
一方で、専門家のもとでリハビリを続けるためには、保険制度上の制約も問題になります。効率的にリハビリを行うための工夫が求められています。
執筆者
Inpatient Rehabilitation after Liver Transplantation Decreases Risk and Severity of 30-Day Readmissions.
J Am Coll Surg. 2016 Jul.
[PMID: 27049779]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。