変性による内側半月板損傷に対して運動療法と関節鏡手術を比較
ノルウェーで行われた研究の結果が、医学誌『BMJ』に報告されました。
この研究では、変性による内側半月板損傷がある、35歳から60歳の140人が対象とされました。
対象者はランダムに2グループに分けられ、治療を受けました。
- 関節鏡手術(半月板部分切除)をするグループ
- 手術をしないで12週間の運動療法を行うグループ
治療後の経過が2年間追跡調査されました。2年後に、質問票で痛みやスポーツができるかなどを評価したスコア(KOOS4)の変化が比較されました。
手術と運動療法で同程度の結果
次の結果が得られました。
2年間に、KOOS4の変化には群間で臨床的意義のある差が見られなかった(0.9ポイント、95%信頼区間-4.3から6.1、P=0.72)。3か月時点で、筋力は運動群で改善していた(P ≦0.004)。
2年のフォローアップの間にどちらの群でも深刻な有害事象は発生しなかった。
どちらの治療でも、2年間のスコアの変化に違いがありませんでした。治療後3か月の時点では運動療法のグループで筋力が改善していました。
事故などの深刻な問題はどちらのグループでも起こりませんでした。
半月板損傷は手術しなくていい?
変性による内側半月板損傷に対して、半月板切除と運動療法の効果は同程度という結果でした。
この研究では、より若い人で、半月板の変性がなく、スポーツなどにより半月板損傷が起こった場合は対象とされていません。そのため、同じ結果が当てはまるかどうかはわかりません。
一般的に、ここで対象とされたような場合に手術をするかどうかは、症状などから判断されています。判断に迷うような場合に、実際に試したデータが役に立ちます。
執筆者
Exercise therapy versus arthroscopic partial meniscectomy for degenerative meniscal tear in middle aged patients: randomised controlled trial with two year follow-up.
BMJ. 2016 Jul 20.
[PMID: 27440192]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。