2016.10.14 | ニュース

重症の貧血を起こす「骨髄異形成症候群」、レブラミドはもっと多くの人に役立つかもしれない

5q-のない患者239人で検証
from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology
重症の貧血を起こす「骨髄異形成症候群」、レブラミドはもっと多くの人に役立つかもしれないの写真
(C) niyazz - Fotolia.com

骨髄異形成症候群は、骨髄が正常な血液を作れなくなる病気です。人によっては輸血がなければ生活できなくなります。一部の人に有効とされている薬を使うことで、これまで対象とされていなかった人にも効果があったことが報告されました。

骨髄異形成症候群の治療薬のひとつがレナリドミドです。日本でも使われています。レナリドミドを成分とする製剤レブラミド®の効能効果として、添付文書上では「5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群」と記載されています。

5番染色体長腕部欠失(5q-、ごキュー・マイナス)とは、骨髄異形成症候群の一部の患者に見られる染色体異常です。5q-は、骨髄異形成症候群の原因の一部にあたると考えられています。レナリドミドは5q-がある場合に特に有効と考えられ、現時点(2016年10月)では5q-がある患者に使われています。

しかし、医学誌『Journal of Clinical Oncology』に新しく掲載された研究は、5q-がない患者にもレナリドミドを使ったところ、改善が見られたことを報告しています。

 

骨髄異形成症候群は正常な血液が作られなくなる病気です。赤血球減少(貧血)、白血球減少による感染症血小板減少による出血などを起こします。軽度の人では症状がないこともあります。

悪化して白血病になる場合もあります。将来のリスクが高いとされる状態の人では、半数が5か月以内に死亡すると言われています。

 

この研究では、5q-がない骨髄異形成症候群の患者のうち、WHOの基準で比較的将来のリスクが低いとされる人を対象としています。リスクは次の3点を総合して判定します。

  • 血液検査で血球減少が軽度
  • 骨髄検査で芽球(異常な細胞)が少ない
  • 染色体検査で特に危険とされる染色体異常がない

239人の対象者がランダムに、レナリドミドを使って治療するグループと、レナリドミドを使わないで治療するグループに分けられました。

 

治療によって次の結果が得られました。

8週間以上の赤血球輸血非依存状態は、レナリドミド群の26.9%、偽薬群の2.5%で達成された(P<0.001)。

最も多い治療由来有害事象は好中球減少および血小板減少だった。

研究期間に、赤血球輸血をしないで生活できる状態が8週間以上あった人の割合は、レナリドミドを使ったグループでは26.9%、使わなかったグループで2.5%と、レナリドミドを使ったほうが多くなっていました。

副作用の可能性があることとして、好中球(白血球の一種)減少、血小板減少が報告されました。

 

これまで対象とされていなかった人に対しても、レナリドミドの効果が現れる結果でした。

この結果は、輸血の必要が少なくなることによって、治療中の生活が楽になるという効果です。この研究ではレナリドミドによって白血病の発生や死亡を防ぐ効果は見られていません。

つまり、骨髄異形成症候群を「治す」とまでは言いにくいものの、一部の人に何らかの利益をもたらす可能性があります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Randomized Phase III Study of Lenalidomide Versus Placebo in RBC Transfusion-Dependent Patients With Lower-Risk Non-del(5q) Myelodysplastic Syndromes and Ineligible for or Refractory to Erythropoiesis-Stimulating Agents.

J Clin Oncol. 2016 Sep 1.

[PMID: 27354480]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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