2016.07.27 | ニュース

吹き矢を吹いたら内臓が飛び出した78歳男性、どう対処する?

防衛医大のチームから症例報告
from International journal of surgery case reports
吹き矢を吹いたら内臓が飛び出した78歳男性、どう対処する?の写真
(C) Jialiang Gao - wikimedia commons (CC by 4.0)

腹腔鏡手術は緊急事態にも出番があります。非常にまれな、成人の「ボクダレック孔ヘルニア」に対して腹腔鏡手術が行われた例が報告されました。治療された人は直前に吹き矢を吹いていた78歳男性でした。

◆ボクダレック孔ヘルニアとは?

ヘルニアとは、臓器が本来の場所とは違う場所に飛び出してしまうことです。飛び出したものがはまり込んで戻らなくなることを嵌頓(かんとん)と言い、状態によって手術が必要になります。

ボクダレック孔(こう)ヘルニアは、ほとんどが赤ちゃんに起こる病態で、横隔膜の隙間を抜けて腸が腹部から胸部へ飛び出してしまった状態です。

 

◆吹き矢を拭いていたら腸が飛び出した男性

防衛医大の研究チームから、成人のボクダレック孔ヘルニアを腹腔鏡手術で修復した例が報告されました。

報告されている患者は78歳男性で、吹き矢を2時間吹いたあと急激な腹部全体の痛みがあり受診しました。

レントゲン写真で、左の横隔膜が押し上げられ、腸が胸の高さまで飛び出しているのが見えたことから、吹き矢で腹圧が上がったことによるボクダレック孔ヘルニア嵌頓と診断されました。

 

◆腹腔鏡手術で無事回復

この男性は腹腔鏡手術で腸を修復する治療を受けました。

7日後に退院となり、2週間後のレントゲン写真で再発はありませんでした。

 

成人のボクダレック孔ヘルニアはまれなので、吹き矢が危ないかどうかはこの1人の例からはわかりません。こうした予想外の事態にも対処例が報告され共有されることには、緊急の治療について知見を積み上げ、少しずつ判断を確かにしていく意義があります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Successful laparoscopic repair of an incarcerated Bochdalek hernia associated with increased intra-abdominal pressure during use of blow gun: A case report.

Int J Surg Case Rep. 2016.

[PMID: 27111876]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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