二日酔い、頭痛などに対する漢方薬の五苓散(ゴレイサン)の作用

この記事のポイント
2.二日酔い、頭痛など五苓散による改善が期待できる症状について
体質や症状に合った漢方薬の使用は時として大きな治療効果をあらわします。ここでは二日酔い、頭痛、吐き気など主に「水」に関わる漢方薬の五苓散(ゴレイサン)について解説します。
◆ 五苓散(ゴレイサン)の構成生薬と利水作用について
五苓散は構成生薬として沢瀉(タクシャ)、蒼朮(ソウジュツ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)を含み、五苓散の名前の由来は五種類の生薬と主薬となる猪苓からとったものです。(五味猪苓散が詰まってできた名前とされています)
医療用医薬品としての効能・効果は「口渇、尿量減少するものの次の諸症:
薬効薬理試験においてもアルコール
構成生薬の中でも中心となる猪苓(チョレイ)は、利尿作用、抗
このように主に体内の水分貯留に関わる改善効果が期待できる漢方薬が五苓散であり、「水」が関わる様々な
◆ 二日酔い、頭痛など五苓散による改善が期待できる症状について
先ほど五苓散の効能・効果を示しましたが、非常に多岐に渡り効果が期待できることがわかります。ここでは五苓散の効果が期待できる症状についていくつか例を挙げてみていきます。
▪️二日酔い
二日酔いはアルコールが体内で分解される段階でつくられるアセトアルデヒドが主な原因となり頭痛や吐き気などがあらわれますが、体内の水分貯留バランスが崩れていることも多々あります。
五苓散自体が元々、急性胃腸炎で吐き気や下痢などがある症状に使われてきたこともあり、消化器症状が主な症状の一つになる二日酔いには適する漢方薬になります。特に二日酔いで喉が渇いて水分を欲する割に尿があまり出ないなどの場合には五苓散の利水・利尿作用などを考慮すると、より適する症状であるともいえます。
▪️頭痛
頭痛がおこる原因は様々ですが、頭痛に合わせて吐き気や嘔吐などの症状を伴うこともあります。五苓散の効能・効果には頭痛がありますが、利水作用などによりめまい、吐き気などの頭痛に伴う症状においても改善効果が期待できます。特に口渇、尿量の増加・減少、
▪️つわり(妊娠悪阻)
妊娠中では水分の代謝に影響があらわれ
その他、五苓散は暑気あたり(夏バテ)や慢性硬膜下血腫などにも使われています。また成人ばかりでなく小児の下痢などにも使われ、特に吐き気が強く内服できない消化器症状などでは五苓散をお湯で溶かして肛門から挿入する方法が取られる場合もあります。このように体内の「水」に関わる五苓散は漢方薬の中でも特に多様な漢方薬の一つと言えるのではないでしょうか。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。