運動を伴う低カロリー高タンパク質食、そのダイエット効果は?

ダイエットにあたっては、除脂肪体重(LBM: 筋肉や骨、内臓などの総量)を保ちつつ体脂肪のみを落とすことが重要です。運動と併せ、低カロリー高タンパク食をとることの有効性について実験が行われました。
◆筋力トレーニングと同時にタンパク質を補充
この研究は、40人の若年層の男性を対象としました。1日の摂取カロリーを除脂肪体重1kgあたり33±1kcalと定めた上で、20人ずつ2つの群にランダムに振り分けました。
一方の群(CON)の摂取タンパク質は体重1kgあたり1日に1.2g、もう一方の群(PRO)の摂取タンパク質は体重1kgあたり1日に2.4gとしました。
4週間の試験期間中、両群とも6日/週の割合で、緩急をつけた無酸素運動 を伴う筋力トレーニングを行いました。
◆高タンパク質摂取群の方が除脂肪体重増加、体脂肪減少
以下の結果が得られました。
PRO群での除脂肪体重は1.2±1.0kgの増加があり(p<0.05)、CON群(0.1±1.0kg)よりも変動が大きかった(p<0.05)。またPRO群はCON群よりも体脂肪の減少が大きかった(PRO:-4.8kg±1.6kg; CON:-3.5±1.4kg; P<0.05)。
摂取エネルギー制限の下、無酸素運動をとりいれた激しい筋力トレーニングを実施した場合、併せて高タンパク質を摂取すると、その半分の量のタンパク質を摂取するよりも、除脂肪体重の増加と体脂肪の減少が見られました。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)によれば、1日あたりのタンパク質平均必要量は、成人男性で50g(18歳~29歳の参照体重63.2kg)とされています。
今回の試験では、この参照体重に基づくと約76gもしくは約152gを1日あたり摂取したことになります。 今回の研究結果は、低カロリー食と運動によるダイエットを行う際の、タンパク質摂取量を算出するにあたって役立つかもしれません。
執筆者
Higher compared with lower dietary protein during an energy deficit combined with intense exercise promotes greater lean mass gain and fat mass loss: a randomized trial.
Am J Clin Nutr. 2016 Mar.
[PMID: 26817506]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。