◆腹腔鏡手術は腸閉塞が少ないか?
腹腔鏡手術はお腹に小さい切り口を作り、腹腔鏡という内視鏡の一種を入れて操作する治療法です。手術のあとに残る傷口が小さくなるなど、体にかかる負担を小さくすることが期待されています。ただし、手術の内容によっては高度な技術が必要になり、肝臓の腹腔鏡手術を受けた人が死亡した事故が報道されたこともあります。
この研究は、大腸の腹腔鏡手術の利点について検討するため、腹腔鏡手術のあとに起こる腸閉塞の頻度が、開腹手術に比べて少ないかどうかを検討しました。
腹腔の手術では、臓器の表面に触れると回復の過程で周りの組織と癒着してしまい、腸閉塞の原因になります。
研究班は、これまでに報告された研究論文を集め、データを統合して統計解析を行いました。
◆術後早期、晩期ともに腸閉塞は少ない
次の結果が得られました。
開腹手術と比べて、腹腔鏡手術は術後早期の腸閉塞(オッズ比0.62、95%信頼区間0.54-0.72、P<0.001)、術後晩期の腸閉塞(オッズ比0.61、0.41-0.92、P=0.019)の率の減少と関連した。
術後早い時期、遅い時期ともに、腹腔鏡手術のほうが開腹手術よりも腸閉塞が少ないという結果でした。
研究班は「術後の腸閉塞の減少は、大腸疾患の患者に対する腹腔鏡手術の利点を示している」と結論しています。
執筆者
Meta-analysis of the risk of small bowel obstruction following open or laparoscopic colorectal surgery.
Br J Surg. 2016 Feb 22. [Epub ahead of print]
[PMID: 26898718]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。