視野が狭くなるのを防ぐ手術「線維柱帯切除術」の効果は?

緑内障は眼球内部の眼圧が上がることにより眼の神経に障害が生じ、視野が狭くなり、眼が見えづらくなる病気です。手術による治療が緑内障による視野障害をどのくらい防げるか報告されました。
◆線維柱帯切除術による治療
線維柱帯切除術は眼圧を下げる手術のひとつで、緑内障の治療に使われます。
今回の研究では、線維柱帯切除術を行った64人の緑内障患者が対象にされました。比較のため、手術を行わなかった緑内障患者65人の視野障害の経過もあわせて調査されました。これらのデータが集められ分析されました。
◆線維柱帯切除術は視野障害を遅らせる
手術後平均5.4年の経過をまとめたところ、次の結果が得られました。
視野の全ての位置の平均変化率が手術前の-2.5±9.3%/年から、手術後で-0.10±13.1%まで遅くなった(P<0.001)。[...]。線維柱帯切除術を受けたグループと比較グループの間に
有意 差が見られた(P<0.0001、カイニ乗検定)。
線維柱帯切除手術前に比べて、手術後では、視野障害の進行が遅くなりました。手術をしなかったグループに比べると、手術を行ったグループのほうが良好な結果でした。
線維柱帯切除術が長期的に視野障害を遅くする効果が見られました。緑内障の治療には、薬を使って眼圧を下げる方法、レーザー手術、また違う方法の手術などがあります。ここで報告されたような結果が集まることで、治療の特徴を比較し、選択する役に立つかもしれません。
執筆者
Trabeculectomy Can Improve Long-Term Visual Function in Glaucoma.
Ophthalmology. 2016 Jan.
[PMID: 26602970]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。