2016.02.27 | ニュース

頸動脈狭窄 高齢者には内膜剥離術

4,754人のデータから 内膜剥離術とステント留置術を比較

from Lancet (London, England)

頸動脈狭窄 高齢者には内膜剥離術の写真

動脈硬化により、首にある頚動脈が狭くなる頸動脈狭窄は血管が詰まってしまうことから、脳梗塞のリスクが高く、症状や状態により治療法を選択します。そのうちの内膜剥離術とステント治療について米国の研究班が年齢の関連を検証しました。

内膜剥離術は手術により頸動脈を切開して、動脈硬化でできたふくらみを取り除きます。

ステント治療は、太ももの血管から頸動脈まで管(カテーテル)を通し、血管が狭くなったところを風船で広げて、細い形状記憶のワイヤーでできた筒を血管に置き、血管が狭くなるのを予防します。

 

◆4,754人を検証

研究チームは、4つの試験結果を統合して4,754人のデータを解析し、頸動脈狭窄の症状がある患者さんが受けた内膜剥離術またはステント治療の結果と年齢の関連を検証しました。

 

◆内膜剥離術では加齢によるリスクの増加はなかった

ステント治療を受けた患者さんでは、周術期(入院から回復までの期間)の脳卒中または死亡のリスクは年齢とともに高くなりました。

内膜剥離術を受けた患者さんでは、加齢による周術期のリスクの増加は確認できませんでした。

ステント治療と内膜剥離術を比べると、周術期の脳卒中または死亡は、65~69歳の患者さんで1.61倍、70~74歳の患者さんで2.09倍、ステント治療のほうが多くなっていました

 

高齢者の手術は危険性が高いのでステント治療を選択するという考え方もありましたが、ほかの研究からは高齢者には内膜剥離術がよいという結果も発表されており、治療するときの年齢は重要な問題でした。この研究は後者を支持する結果と言えます。

参考文献

Association between age and risk of stroke or death from carotid endarterectomy and carotid stenting: a meta-analysis of pooled patient data from four randomised trials.

The Lancet. 2016 Feb 12. [Epub ahead of print]

[PMID: 26880122 ] http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(15)01309-4/fulltext

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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