不妊治療のひとつである体外受精・胚移植法では、排卵を促す注射で卵巣を刺激して卵子を取り出し、体外で精子と受精させてから、子宮に胚を移植します。
◆英国156,947人の女性のデータを解析
研究チームは、2003年から2010年までにIVF卵巣刺激を受けた女性156,947人を2012年まで追跡し、卵巣刺激IVF1回あたりの生児出産率と、治療を繰り返した全周期の累積出生率を解析しました。
◆6回で出生率が65.3%
生児出産率は1回目が29.5%、4回目まで20%程度と回数を重ねる毎に減っていきますが、それ以降も繰り返すことで出産できる女性は増えました。 6回までで65.3%の女性が出産することができました。
年齢が上がると出生率は下がりましたが、ドナーから提供された卵子をつかった場合には、年齢による出生率の差は見られませんでした。
この研究は、今までで最大規模の画期的なもので、「4回が限度だろう」という常識に挑戦しました。日本では体外受精などの高度生殖医療は助成金があるものの、保険適用外なので金銭的に負担になりますし、治療を重ねることで、受ける方の身体やこころにも負担になってしまいます。この結果は、治療中の方や治療を検討されている方々にとって、治療の方法や回数を医師と共に決定するための目安になるのではないでしょうか。
執筆者
Live-Birth Rate Associated With Repeat In Vitro Fertilization Treatment Cycles.
JAMA. 2015 Dec 22-29.
[PMID: 26717030]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。