◆アミオダロンに関する24件の研究論文を分析
研究チームは、効果のない薬(偽薬)を服用したとき、全く何もしないとき(処置なし)、他の抗不整脈薬を服用したときのそれぞれと比較した場合のアミオダロンの心臓突然死への予防効果を評価しました。
評価対象としたデータは、アミオダロンについての24件の論文中の、成人9,997人のデータとしました。アミオダロンの心臓突然死に対する予防効果は、心臓突然死になるリスクが高いと予想された対象者に対する評価と、実際に不整脈による心停止や失神を一度起こして回復した対象者の再発に対する評価をそれぞれ行いました。
◆アミオダロンは、心臓突然死を予防した
データの評価の結果、アミオダロンの心臓突然死に対する予防効果について以下のことが分かりました。
一次予防では、アミオダロンを使用した場合、偽薬や処置無しの場合と比較して(17件の研究、8,383人の対象者)、心臓突然死が減少した(RR:0.76、95%信頼区間:0.66-0.88)[...]。[...]他の抗不整脈薬を使用した場合と比較して(3件の研究、540人の対象者)、アミオダロンを使用した場合、心臓突然死が減少した(RR:0.44、95%信頼区間:0.19-1.00)[...]。
アミオダロンは、心臓突然死になるリスクの高い人に対して予防効果を示し、その効果はほかの抗不整脈薬に勝るというデータが得られました。
不整脈による心停止や失神から回復した人に対するデータからは、アミオダロンには心臓突然死への予防効果があるとは確かめられませんでした。
今回の結果が、従来の植え込み型除細動器による治療が出来ない場合などの心臓突然死の予防へとつながっていくかもしれません。
執筆者
Amiodarone versus other pharmacological interventions for prevention of sudden cardiac death.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Dec 8.
[PMID: 26646017]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。