変形性股関節症の痛みは運動療法で良くなる?

変形性股関節症は、加齢により関節が変形し、股関節などに痛みが出る病気です。この研究では、変形性股関節症の痛みが、運動によって改善するかを、過去の研究結果から検討しました。
◆変形性股関節症の痛みを改善するには?
この研究は、過去の19の研究から、変形性股関節症の患者さんに運動療法を行った場合に、痛みに効果があるか検証しました。運動療法は、水中での運動と陸上での運動としました。
◆変形性股関節症の痛みには運動療法が良い
結果は以下の通りでした。
4つの研究では、WOMACの痛みのスケールを用いた場合、水中運動で、最小治療のコントロール群より、短期間で良好な効果が見られた(標準化平均差 -0.53、95%信頼区間-0.96から-0.10)。
6つの研究では、地上運動は、最小治療のコントロール群と比較し、VASで評価した痛みにおいて、短期間で効果があることを支持した(標準化平均差-0.49、95%信頼区間-0.70から-0.29)。
「…」運動療法と徒手療法を組み合わせた場合、最小治療のコントロール群と比べても効果はなかった(標準化平均差 -0.38、95%信頼区間 -0.88から0.13)。
水中運動や陸上運動を行うことで、痛みが改善することが分かりました。一方、これらの運動療法に徒手療法(専門家の手で関節などを動かし関節の機能を上げようとする治療法)を加えても、運動療法のみと比べて効果に違いは見られませんでした。
変形性股関節症の患者さんによっては、痛みにより運動を控える人も多いと思います。今回の結果も参考にしながら、日頃の運動について考えてみても良いかもしれません。
執筆者
Effects of exercise and manual therapy on pain associated with hip osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2015 Nov 26. pii: bjsports-2015-095255.
[PMID: 26612846]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。